もうひとつ。映画『まともじゃないのは君も一緒』では、べらっべらしゃべる割に意外とふんわりして具体性がない、いまどきの女子高生の役だった。予備校の先生である成田凌を舌先三寸で巻きこんで、自分の恋をアシストさせようと企む。また、女性経験のない数学オタクの成田に恋愛指南をするも、うっかりうまくいきそうになって逆に焦りを覚える……そんな恋模様を描く作品だった。

 清原のマシンガントークは自然体で、ようしゃべる役も心地いいなと思った。ちっともおとなしくなんかない、ませた女子高生で、大人を手玉に取る作戦まで完璧に練る策士。

 それでも成田に対して芽生えた気持ちに戸惑ったり、憧れのおもちゃメーカーの社長(小泉孝太郎)にホテルに誘われてついていく稚拙さもある。青春ラブストーリーと敬遠していたら損をする、丁々発止がおかしくて笑える映画だった。ああ言えばこう言う、1秒も黙っちゃいない清原は、有望なコメディエンヌとして評価したい。

Netflixで見せた彼女の狂気

 で、ぜひ観てほしいのは、清原の狂気。正統派美少女がもつ狂気がすごいのなんのって。『宇宙を駆けるよだか』(Netflix)は、清原と富田望生の「女子高生入れ替わりファンタジー」なのだが、ふたりとも強烈な印象を残した。

 清原は裕福な家庭に育ち、明るくて優しい人気の美少女優等生・あゆみの役。富田は母親(『ふぞろいの林檎たち』の中島唱子!)とアパートに二人暮らしで半ばネグレクト状態、容姿と根の暗さからかなり卑屈になっている然子の役。然子がある現象を利用して美人のあゆみと入れ替わるという、少女漫画独特の残酷な設定だが、いい芝居してんのよ、ふたりとも!

 劇中、清原が然子を、富田があゆみを演じる時間のほうが長く、性格がひねくれて憎悪に満ちた清原をたっぷり堪能できる。人を押しのけ、ドタドタと歩きまわり、爪を噛んで世を呪いちらかす清原には、なかなかの迫力があった。ちょっとサイコホラー感もあって、鳥肌モノである。

 そういえば、映画『ユリゴコロ』でも、吉高由里子の少女期を演じていて、おぞましさにぞっとした記憶がある。残虐な行為でようやく喜びの感覚を掴んだサイコパス少女の役だ。側溝に落ちた帽子を取ろうとした少年の上に、思いっきり鉄板を落とすシーンは強烈だった。適役といったら嫌がるかもしれないが、本当の狂気って表面上に出てこないからこそ怖いんだよなぁと痛感したくらい。