相方・澤部に発言権はないです
前作から2年を経て執筆作業に変化は?
「書く時間が早くなりました。最初のころは(一編に)5時間ぐらいかかったけど、いまは2、3時間。内容を無理に誇張することが減って、思ったことをそのまま書いたほうがおもしろいと思うようになり肩の力が抜けました。
書くのはリビングかベッドの上です。ゲームに飽きて食事をして、エッセイが暇つぶしと思えるくらい何もやることがなくなったら書くモードに入ります」
ネタづくりとも並行する。
「エッセイはネタづくりより楽です。ネタは確実に笑いをとらないといけないので緻密さが必要です。文章はダラダラ書いて何か言われても、ダラダラ書いていることに意味があると後づけして言い逃れができる。でもネタはその場で結果が出るものなので難しい。気をつけないと笑いもとらないダラダラ話すだけの内容になるのでネタづくりに支障をきたしています(笑)」
快活な印象の相方・澤部とは対照的なコンビで、自身はひねくれキャラのイメージが強い。
「学生のときからリア充だったし、自分が暗いと思ったことはありません。友達も多いし、人への垣根もなく人見知りや物怖じしないタイプです。
コンビにおいては俺のネタで売れたし、ネタをつくらない澤部に発言権はないので、俺に100%従うようになりましたね」
2冊目が発売されたばかりだが、早くも3冊目が計画されている。
「1冊目を書いたときに“出版社のゴリ押しで何か賞をとらせてくれ”と言ったんです。でも“エッセイの賞はないです”って。小説は賞がいっぱいあるのに、目指すものがない状態で書かされている。
でも文章を書けるようになりたいと思って始めた部分もあります。例えば声明文とか遺書をしっかり書きたい。思っていることが伝わらず、内容がまとまっていないのは嫌だしカッコ悪い。俺のパブリックイメージのためにも(笑)文章はうまくなりたいです。
小説家として名をはせることはできないだろうから、エッセイを小説と言い張っているやつになってやろうかと思います」
文学界の新星として注目されるかも。
恋愛エッセイは薄味?
35歳、独身。その日常を綴ったエッセイには“恋愛”めいたことが登場しない。
「恋愛を書く予定は、ないですね。書いてもいいけど薄味になると思います。理由は優先順位が低いから。人生において仕事、お笑いがいちばん。恋愛はだいぶ下です。好きな女性のタイプは、俺のことを好きな女性ですね。俺が好みだと思っても相手が俺のことを好きじゃなかったら興味がなくなる。需要と供給で成り立っているような関係は疲れちゃう。無償の愛をくれる人がいいですね。マザコンだけど、母親を理想と思ったことはないです」
(撮影/齋藤周造)