芳香剤いらずの香りつき、大ヒットのトリプル
巻きの長さ以外でもトイレットペーパーは進化を続けている。丸富製紙は長巻きのほか、美しい柄つき商品や、香りつきの商品も取りそろえている。同社マーケティング本部の加藤貴美さんに、香りのトレンドを教えてもらった。
「最近はジャスミンの香りや緑茶の香りが人気です。トイレ特有のアンモニア臭と相性のいい香気成分が配合されていて、ただ香るだけではなく、消臭効果も併せ持つといった特徴があるんですよ」
トイレットペーパーのおかげで芳香剤いらずになるのなら一石二鳥だ。
香りやプリントつきの製品は人体に影響はない?
「香り成分はペーパーの芯の部分についているので、直接肌に触れることはありません。香料や着色の顔料も安全性が証明されたものを使用しているため、安心してお使いいただけます」(加藤さん)
市場に先駆けてダブルタイプのトイレットペーパーを開発したのも丸富製紙だという。シングルはコスパの高さから、ダブルは質感や拭き取り効果の高さからそれぞれ人気を二分してきた。しかし近年コアな人気を集めているのが、第三勢力「トリプル」だ。
望月製紙が発売している『うさぎ』(2ロール入りギフトボックス 1375円)は上質なパルプの使用と3枚重ねというこだわり抜いた製法が特徴の商品。34か月連続完売で、現在は同社のECサイトで3590人の販売待ちが出るほどの大ヒット商品だ。
8ロールで1万1000円!
さらに同社は最高級トイレットペーパー『羽美翔(はねびしょう)』も販売している。化粧箱入りの8ロールで1万1000円と破格の価格設定。皇室献上品としての実績もあり、贈答品として購入する人が多い。どちらも市場の低コスト競争とは真逆の方向の進化だが、販売個数は20万ロールを突破したそう。
「価格帯は一般的な製品の10倍~20倍以上ですが、その理由は原料と製造工程へのこだわりです。質のよい北米の純粋パルプと、河川水質ランキングで1位に選ばれた高知県仁淀(によど)川の水を製造工程で使用しています。日々変わる気温と湿度に合わせて微妙な調整を繰り返し、時間をかけて丁寧に製造しております」
そう語るのは、望月製紙代表取締役の森澤雅代さん。業界の常識とは真逆ともいえる非効率極まりない製造方法だというが、すべては究極のやわらかさのため。ちなみに同社のトイレではこの『羽美翔』と『うさぎ』を交互に使用し、微妙な品質の変化を社員が自らチェックしているそうだ。
セレブといえば、私たちにより身近なのが、スーパーなどでも市販されている『おしりセレブ』(4ロール入り 364円)かもしれない。発売当初からさらに進化し、クリーム成分や独自の保湿成分のほか、植物由来スクワランやベビーオイルを配合し、デリケートなおしりを守る人気商品だ。王子ネピア株式会社マーケティング本部の酒井亜紀さんは次のように語る。
「おかげさまで好評で、シリーズの姉妹品として『おしりセレブWET』(40枚入り 355円)というトイレに流せるおしり洗浄シートも生まれました。程よくひたひたと薬液を含んだウエットティッシュのような商品は、使用後のすっきり感がたまりません」