『日本沈没』は第1話の見逃し配信再生回数が261万回を記録。日曜劇場の初回放送の中では歴代1位の再生回数となっただけに、世界的ヒットも期待できそうだが……。
「海外の映像作品評価サイト『IMDb』では2573位と、注目が集まっているとは言えず苦戦していますね」(映画ライター)
『日本沈没』が海外でウケない理由はどこにあるのか?
生き残りをかけた“海外ウケ”
「日本のドラマは日本の社会を経験していないとわからない、日本人特有の文脈を含んでいることが多いため、海外ではなかなか理解されにくいんですよね。リメイクなどで国境を超えることはあっても、そのままの形で海外公開されることは稀。
興行収入が80億円を突破した映画『シン・ゴジラ』が世界でヒットしなかったのもそのあたりが理由だと言われています」(ドラマ評論家の成馬零一(なりまれいいち)さん)
脚本チームの構成にも、問題があるという。
「日本のドラマは1人だけで脚本を担っている場合が多く、脚本家の個性が反映されたオリジナリティのある作品が生まれやすい、という一面もあります。
しかし海外では、基本的に複数の作家で脚本を担当していて、日本とは比較にならない莫大な予算もある。そのため日本では実現できない、スケールの大きな長編作品を制作することができるんです」(成馬さん)
予備知識がないと作品を楽しめない。そんな脚本の“内輪ノリ”が世界進出の弊害となってしまっているようだ。しかし前出の木村さんは、日本のドラマの今後に期待を抱いていると話す。
「映像の技術やノウハウ、経験値はすでに世界で通用するレベルにあります。今回、『日本沈没』の世界配信が実現できたのも、スポンサーからの信頼が厚い“日曜劇場”という看板があったからでしょう。今後、生き残りをかけて民放各局が戦いの場を世界に移していく中で、海外からの評価を意識したドラマ制作が主流になってくると思いますよ」
TBSの新しい試みは、テレビ業界の“希望”となりそうだ。