Qネタに挑戦した感想は?
木村 阿佐ヶ谷姉妹さんにお会いしたときに玉ちゃんが“ふたりの前でやろう”ととんでもないことを言い出すんです。“怖いものがなくなるから”って練習していたネタをやらせていただきました。(ドラマでも)素人が頑張って阿佐ヶ谷姉妹さんのマネをしているとお許しをいただけたら。
安藤 ネタをやるというより演じている気持ちですね。
木村 ちゃんと笑わせるのは間が数秒でも違うとおもしろさが変わってしまう。芝居は音楽やカメラワークでおもしろさを演出してもらえるけど、ふたりだけで勝負するというのはおもしろい反面、芸人さんの大変さを実感しました。
(役に影響されて)最近は芸人のような気分にもなっていて、どうにか売れないものかしらと思うほどです(笑)。
安藤 ネタを生み出す苦しさも描かれていて、お互いをより観察してさらにおもしろくする作業は難しいですよね。
木村 私たちができないことをやっているので尊敬でいっぱいです。
安藤 そうですよね。
Q 阿佐ヶ谷姉妹のような関係性に感じることは?
木村 演じて思ったのは玉ちゃんがいると安心する。ほかの共演者と芝居するときに玉ちゃんがいなくなると急に不安になる。そういう存在がいることは心強くて安心できます。いろんな人と関係を築くのは大変でストレスを感じている方も多いと思いますが、安心できる人がいるっていうのは幸せなことだと思いました。阿佐ヶ谷姉妹さんのお互いを傷つけ合うことなく補い合って助け合って支え合っている姿はうらやましいと思います。
安藤 それに加えてふたりでツッコみ合っているのも好きです。作品を通して思ったのは、とっても親しい人、一生を一緒にいたいと思える人はひとりでいいんじゃないかと思いました。いろんな人とたくさんつながらなくても、ひとりでもわかり合える人がいれば心強いし、十分だと思います。おふたりのことを考えると温かい気持ちになります。
Q ドラマの見どころは?
木村 阿佐ヶ谷姉妹さんは、なんでもない日常でのやさしさや、ささやかな幸せを体現され、ネタにもなっている。阿佐ヶ谷姉妹さんの恩恵にあずかって私たちも伝えられるのはすごく幸せだなと思って演じさせていただいています。
安藤 エッセイを読んで“命を大事にしている”と感じました。植物や小動物など自分以外の命にも気持ちをはせる。そういうことが伝わるといいなと思います。
【あらすじ】“阿佐ヶ谷姉妹”という擬似姉妹の芸人として活動しながら、アルバイトで生計を立てているエリコ(木村多江)とミホ(安藤玉恵)。見た目は似ているが性格は対照的なふたりが東京・阿佐ヶ谷のアパートでの同居生活、大家や街の住民たちとの心温まる交流を描いたホームドラマ。
初出:週刊女性2021年11月16日号/Web版は「fumufumu news」に掲載