大人の症状で注目されている味覚障害や嗅覚障害は、13歳以上ではそれぞれ74人(24.7%)と71人(23.7%)であり、年齢が高めの小児でもそれなりの頻度で現れていた。他方、6歳未満ではほとんど見られなかった。

「大人でも味や香りがわからなくなる味覚障害や嗅覚障害は、ストレスフル。これが子どもにも見られたということは、重要な情報だと考えられます。一方で、この結果から小さい子には味覚障害や嗅覚障害がないと結論づけるのは早いと考えています。味覚障害、嗅覚障害は自覚症状なので、症状を訴えることができない小さいお子さんの場合、本当に症状がないのか、あるけれど訴えられないのかがわからないためです」(庄司さん)

 幼少期は味覚や嗅覚などの感覚器が発達する時期でもある。この大事な時期に新型コロナに感染することによってどんな問題が生じるのか。これは今後の研究が待たれるところであり、注意深く見ていかなければならないという。

子どもは本当に軽症ですむ?

 続いて、子どもは本当に軽症ですむのか、という問題。調査では重症度に関してもみているが、730人のうち、中等症に相当する酸素投与が必要になったのは15人(2.1%)だった。

「例えば、子どもがかかりやすい代表的な呼吸器感染症にRSウイルス感染症があります。これと比べても酸素を必要とする子どもの割合が低いことがわかりました。また今回の調査では、自発呼吸ができなくなって人工呼吸器を必要とする子どもや、死亡する子どもはゼロでしたので、やはり小児の新型コロナは軽症ですむという印象を持ちました」

 その一方で、自院での状況から、軽症だからこそ診療や入院が難しい面もあったと、庄司さんは言う。

 国立成育医療研究センターは子ども専用の医療機関であるため、当然ながら、コロナ病床も子ども専用だ。症状が重くて、ぐったりしている子であれば、ベッドの上でおとなしくしているが、軽症の子は基本的に元気がよいため、じっとしていられない。

 本来なら隔離された病室のなかにいなければならないわけだが、病棟の廊下に出てきてしまったり、夜中に急にさみしくなってナースステーションに来てしまったりということも、見られたという。