「私は醜いんだ」とマインドコントロールされて
2人目は岡山県在住の自営業・ユリさん(仮名・41歳)。パッチリした目にスッと通った鼻筋で、女優の伊東美咲に似た美人だ。不自然さはなく、整形とは言われなければ気づかない。ユリさんのサバサバとした喋り方の中に、ほのかに芯の強さを感じる。
ユリさんは25歳の時に埋没法で二重にし、目頭切開をして目の横幅を広げた。さらに鼻にプロテーゼを入れて高くし、ボトックス注射をエラに打って細くした。ガラッと顔を変える大掛かりな手術で、費用は合計100万円ほどかかったという。整形するに至った壮絶な理由を打ち明けてくれた。
「高校時代、同級生の女の子から陰湿ないじめを受けていて。その子にずっと“ブス、ブス”って言われ続けていたんです。それまでは容姿をからかわれたりすることはなかったのに、あまりに毎日言われるから、私は醜いんだってマインドコントロールされてしまった。言葉だけならまだしも、“ユリちゃんはブスだから、私が綺麗にしてあげる”って言って教室にあった汚いハサミを取って、いきなり私の前髪をバッサリ切ったんです。可愛くなったね〜って、ゲラゲラ笑ってました」
「今となっては過ぎたことですけど」と笑顔で話してくれたが、当時のユリさんの心境を想像するだけで胸が痛む。こんないじめが高校3年間、続いたのだという。
「私ひとりだけそいつに攻撃されてましたけど、めげずに登校してました。その子はいじめがかっこいいと思ってたのかな。なんで私がターゲットになったのかはわからないです」
あまりに理不尽ないじめだが、そのときに「私はブサイクなんだから、貯金して整形するんだ」と決めたという。大学に進学後、バイトでお金を貯め、卒業後は上京して働きながら、どのクリニックがいいか1年かけて徹底的にリサーチ。何軒もカウンセリングに回って「この先生なら」と思える医師に巡り会い、満を持して整形に踏み切った。
手術後、ダウンタイムは1か月かかったと振り返る。
「目と鼻がパンパンに腫れたし、抜糸してないから糸も見えてて。赤だったり緑だったり顔色も最悪(笑)。傷口が化膿してしまうので、1週間はお風呂も入れないんですよね。夏場だったのでそれが一番つらかったです。1週間分の食料を買い込んで、ずっと家から出れない状況でした」
それからユリさんの人生は一変した。初めて会う人に「お綺麗ですね」と言われ、男性からは明らかにモテるようになったという。そこでユリさんはある行動に出る。
「地元に帰って、いじめっ子の顔を見てやりたかったんです。同級生みんなで集まったときに対面しましたけど、当の本人は絶句してましたね。私の顔を見て“顔が違う”ってひと言だけ言って、それ以降は何も触れてきませんでした。相手には“あの頃の私はあなたに殺されました”って無言のメッセージを伝えたかったんです。向こうがどう思っているかはわかりませんから、スッキリはしないけど、整形してよかったか悪かったかと言われれば絶対してよかったし、後悔はないですね」