整形しても何しても、陰口を言う人は言う
憎んでも憎みきれない女へのリベンジ──それがユリさんの整形理由だった。家族の反応はどうだったのだろうか。
「そのころ母は他界していて。父と姉がいるんですが、父は整形した直後の私の顔を見ても気づかなかったですね(笑)。 “東京で洗練されたんだね、綺麗になったね”って言うだけで。その後も父にはあえて整形したことは伝えていません。姉はさすがに気づいて驚いてましたが、理由を話すと“あなたが決めたことならいいんじゃない”って。父は今や認知症なんですけど、何もわからなくなって幸せそうにしてるんで、このまま知らないまま幸せでいてほしいなって思います」
周囲の人にも積極的にカミングアウトはしなかったという。
「陰で“あの子整形してるよね”って言う人もいましたけど、そこで私が思ったのは、そういう陰口を言う人は、整形する前の私をいじめてた人だけだったんですよ。前から普通に接していた人は、私が顔を変えても何も態度は変わらないし、“整形した?”って聞かれたら、爽やかに“した”って言える。整形しても何しても、言う人は言うんですね」
手術から15年。整形に対するハードルが低くなったとはいえ、世間の声はまだ厳しいものが多い。
「整形だって非難する人もいるけど、自分がお金貯めてやって何が悪いのって思います。古風な人は“もらった顔に傷をつけて”っていう人もいるけど、じゃあ、生まれながらの病気も直さないのかって。整形で前向きになれたり、人に優しくできたりするならいいんじゃないかなと思います。美容院みたいに気軽に利用して、やりすぎちゃうのはよくないと思うけど」
今後、また整形したいと思うかと問うと──。
「目元やエラなど、徐々に元の自分の顔に戻ってきてるなとは感じますが、今は特に考えてないです。若いうちにやったからですかね、あんまり老化に抗う気持ちはない。もうちょっと年を重ねたら思うかもしれないけど、いまは自然に運動だったり食事だったり、エステでケアできる範囲でいいのかなって思います」
いまの自分の顔が気に入っていると微笑む。中には依存と言えるまで整形を繰り返してしまう人もいるが、ユリさんはなぜそうならなかったのだろう。
「私の場合、リベンジのために整形する、っていうのがはっきりしていたので、一度で満足できたのかもしれません。でもそれは結果論で、私だってどこかで間違ってたら、モテた感覚を取り戻したい! ってオバQみたいな唇になってたかもしれないですけどね」
最後にユリさんは、整形したからこそわかった思いを話してくれた。
「整形して思うことですけど、結局は顔じゃないんですよ。これを言ったら最後なんですけど、どんな顔でも幸せならいいんですよ。芸能人でもあんなに綺麗なのになんで整形を繰り返しちゃうんだろう? っていう人がたまにいますけど、きっと幸せじゃないんだと思います。満たされない心を整形で埋めているように見えちゃう。どんな顔でも、誰か一人でも内面を見てくれる人、君じゃなきゃダメだって言ってくれる人がいれば、顔なんてどうでもいい。私はそういう人にはまだ出会えていないんですけど、そう思えたら幸せでしょうね」
整形でコンプレックスを解消することは何も間違っていない。ただ、心の持ちようで人生は幸せにも不幸せにもなるということは覚えておきたい──ユリさんの言葉を聞いてそう思った。
※この記事は週刊女性PRIMEとYahoo!ニュースによる共同企画です