「優勝なんかいっさい目指しません」

 そんなぶっ飛んだ言葉が大きな話題となった、新庄剛志氏のプロ野球・北海道日本ハムファイターズ監督就任会見。

 この日のために用意したという巨大な襟を立て、シャツをはだけた姿で登場するというインパクト。開口一番、「選手兼監督という形で契約を結んでいただき」と、新庄流のジョークを飛ばし、球団社長に「監督だけです」とツッコまれて空気をつかむと、

「まずは顔を変えていきたいと思います」
「『監督』って呼ばないでください、『BIG BOSS』でお願いします!」
「(球場の)天井から降りたいとは思いますね」

 などなど、変わらぬ“新庄節”が炸裂し、終始笑いに包まれる就任会見となった。

 あるスポーツ紙記者は、

「いろいろと型破り、異例の部分が多かったですが、これほど明るい雰囲気の監督就任会見はほかにないのではないでしょうか」と言う。

 日ハムは大谷翔平のメジャー移籍以降、中田翔の巨人への移籍、栗山監督の退任、斎藤佑樹の引退など、野球にそれほど興味のない人でも知っているスターたちが去って行った。そこに突如、白羽の矢が立った新庄新監督の存在は、大きな期待を寄せる。

「プロ野球は球場に足を運んでくれたり、グッズを買ってくれるファンの存在が非常に重要です。でも、そのファンを掴むためには“成績”が大事になってくるのですが、新庄新監督は、いきなりその成績を切り捨てました(笑)。とはいえ、3年連続Bクラスという不本意な結果が続いているので、Aクラスはもちろん、優勝は目標とするでしょう。今後、何か発言するたびに話題になるのではないでしょうか。彼の場合、メディアが喜ぶ“見出し”になるようなキャッチーな言葉選びが上手ですから」(同前)

「選手兼監督」ではなく「ビッグボス兼タレント」

 新庄への期待はそれだけではない。ある放送作家は「タレントが監督になったような雰囲気ですね」と、そのサービス精神と“華やかさ”について言及する。

「エンタメ要素が多い人ですが、とにかく“野球好き”という大前提があるから、好感度もあるのでしょう。プロ野球選手もですが、アスリートがバラエティーに出ると、本業を疎かにしていると叩かれることが過去にはよくありました。でも新庄さんの場合は、元プロ野球選手、元メジャーリーガーということを含め、本業が『人を楽しませること』という存在なのかもしれません」(前出の放送作家)

 と、地上波での野球中継が減り、スターが生まれにくい今だからこそ、シーズン中のバラエティー番組の出演もアリかもしれないと言う。つまり、プロ野球への注目を集めるには、大切な存在だということだ。

 さらに、監督兼選手ではなく「監督兼タレント」になることもあるかもしれない。

「あるかもしれませんね(笑)。トークバラエティーのゲストとして来てくれるだけでも、確実に盛り上がると思います」(同前)

 日ハムの監督を最優先にすれば、“ビッグボス兼タレント”も実現させてしまいそうな不思議な魅力が、なぜか彼には備わっている。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉