料理学校で覚えたのは料理ではなく不倫の味
また料理しない妻が、夫に一家の料理担当をさせたというケースもある。
看護師の聖子さん(仮名・45歳)は、10年前に2年間同棲していたメーカー勤務の男性(47歳)と結婚。同棲中から、休日になると男性の実家で料理好きな母親の手料理を食べさせてもらった。味覚オンチの聖子さんには「マメなお母さんが作る料理」で、特別な意味があるとは考えもしていなかった。しかし──。
「結婚してから、彼の母親の手料理の意図を聞いて驚きました。“聖子さんに、私だって美味しい料理を作ってやると発奮させたかった”というんです。でも、仕事が終わって帰宅するとくたくた。途中で買った弁当屋の惣菜で私は満足できましたが、夫は不満だったようです」(聖子さん、以下同)
母親のような料理を作ってもらいたいと夫は再三、聖子さんに頼んできた。だが仕事で疲れて帰宅した聖子さんには、そんな気力すらない。すると夫は「せめてお茶ぐらい」と責め立てる。
夫の思いやりのなさにキレてしまった聖子さんは「料理ぐらい自分で作って! お茶くらい自分で入れて! 自立して!」と、ネットで見つけた料理教室に夫を入会させ、自立を促したという。
「ところが夫は料理教室で知り合った10歳年下の女性と不倫したんです。相手は港区の資産家のひとり娘で、お嬢さま学校を卒業したOL。しかも夫は私と離婚して、その女性と再婚しようとしていたこともわかったんです」
ふたりに“鉄拳制裁”まで考えていた聖子さん。しかし、相談した夫婦問題の専門家の言葉で冷静になれた。
「“感情的になったら負け”と諭され、さらに“離婚したいですか、それとも夫に女性と別れてもらって、やり直したいですか”と尋ねられました。不倫は許せないけど、離婚の後に相手と夫が再婚するのも腹立たしい。ひとまず離婚は保留にして、夫の不倫の証拠を集めました。彼女と別れさせるためです」
そして聖子さんは、夫に不倫の証拠を突きつけ、相場以上の慰謝料を提示した。すると夫は「離婚は難しい」と断念したという。
「不倫相手と別れ、料理教室もやめた夫は、実家の母親から料理を習いました。
やはり夫を愛していたのだ、と思います。味覚オンチの私でも夫の料理が美味しく感じるようになって、夫に感謝すると、夫婦関係も改善され、妊娠しました」
長女が誕生すると、家庭が明るくなった。夫は引き続き料理担当で、長女も夫の料理を絶賛しているという。