買取業者の闇
しかし、一旦、中古として使用されてしまえば、そのチェックから外れる。摘発されることも告発される心配もなくなるわけだ。
ただし、完全に法律違反であることは間違いない。
たとえ個人であっても、中古品を買い取って販売するためには古物商免許が必要だが、買い取りだけなら必要ない。そこで販売専門用に名前を変えて、ネットオークションやフリマで香水を売りさばいても、それは個人が自分の持ち物を売っているだけという建前だから特別な条件は何もない。
だが、実は買い手と売り手が一緒だとすれば、古物営業法違反となって懲役3年以下または100万円以下の罰金などが課せられることになる。
いずれにせよ、業者に買い取ってもらった使いかけの香水はブラックマーケットに直行、の可能性は高い。
そして、これまで「おトクだ!」と喜んでいた買い手の方にも被害は広がっていく。
すでに社会的に広く認知され、取引ルールや健全性が急速に整いつつあるオークションサイトやフリマサイトにさえ、このような業者が少なからず入り込んでいる。
「ブランドものの香水やコスメ、それも各種ブランドの中古品を多量に出品できる個人なんているはずない。みんなどこかでかき集めてきたものばかり。セミプロが荒稼ぎしているくらいは、少し想像すれば誰にでも分かります」
しかも掘り出し物と喜んで購入したものの、本物は外側のビンやパッケージなどだけで、大方は中身は真っ赤な偽物ということになる。
もしそんな被害の当事者になりたくないなら、フリマで気になる出品を見つけたとしても、最低でもいくつかのポイントを確認しておいた方がいい。
使用回数や購入時期、購入場所は必須条件。もちろん、出品者についても同じ。評価や同じものを大量に出品していないかをチェックするのは基本中の基本といえる。
たとえば、「評価0」などという出品者は、運営側からアカウントの停止をくらっては新たに登録をくり返すというイタチごっこをしている業者の可能性が大きい。
「ネットの普及で一般の人たちが手軽に個人売買に手を出せるようになってきたから、我々が商売できるようになってきたんだよ」とは買い取り氏の言葉。
ITの拡大で便利さがどんどん拡大する裏では、うごめく闇も急速に大きくなっているというのだ。
<購入前チェックポイント>
ネット購入の前には一度チェックリストを確認してみよう。魅力的な値段や画像に騙されずに一度冷静になれば、偽物の購入は避けられる。
・価格設定が明らかにおかしい
(新品未使用/未使用同然なのに安すぎる)
・出品者の評価が0か極端に低い
・同じものを大量に販売している
・正規代理店を名乗っている
・購入元が明示されていない
・製造番号(シリアルナンバー)が分からない
これらに当てはまる場合、商品が偽物の可能性も。フリマアプリは出品者とのやり取りができるので、気になる事があれば問い合わせてから購入するべきだ。