「事件のあった4、5日前の午前9時ごろ、空き家だと思っていた家から容疑者が作業服で出てきて、自転車で出かけようとしとったんよ。それで“ここに住んどんの?”と聞いたら、“はい”って。とても優しい感じの人やったわ。まさか、あんなことするなんて……」
大阪市西淀川区を流れる淀川からすぐそばにある谷本盛雄容疑者(61)の自宅。その近所の住民はこう振り返った。
12月17日午前10時20分ごろ、同市北区の雑居ビル4階の心療内科『働く人の西梅田こころとからだのクリニック』で放火事件が発生。同病院の患者ら27人が心肺停止状態で救急搬送され、うち25人が死亡。谷本容疑者を含めて2人が重体という、大惨事となった。
「同院に通っていた容疑者が、クリニックの入口付近にあったストーブにガソリンを入れた紙袋を蹴って火をつけました。11月末、ガソリンスタンドでガソリンを10リットル購入していたことから、計画的な犯行と見られています」(全国紙社会部記者)
自宅で放火の実験か
事件を起こす30分ほど前、容疑者は現場から3キロメートルほど離れた同市西淀川区の自宅でボヤを起こしていた。
別の住民はこう話す。
「事前に実験したんだろうね、たいした出火じゃなかったから、すぐに鎮火したけど。その後、自転車で30分ほどかけて現場に向かったみたいやわ」
のちに自宅から、19年7月に起きた『京都アニメーション放火殺人事件』について報じる新聞記事の切り抜きも見つかったことから、この事件を参考にしていたとみられている。