「男湯に小学生とはいえ女の子が入るのは、やっぱり気になっていました。なので、混浴で入れる年齢が下がったことはいいことだと思います」
こう話すのは都内在住の30代女性。東京都は公衆浴場についての条例を改正し、今年の1月1日から公衆浴場での混浴できなくなる年齢を10歳以上から7歳以上に引き下げた。
きっかけは'20年12月に厚生労働省が示した『衛生管理要領』という指針。これまでは「おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと」としていた年齢制限の指針を「おおむね7歳以上」に引き下げたのだ。実に70年ぶりの改正。
長い間改正されていない
この動きについて、NPO法人児童虐待防止全国ネットワークの理事で、子育てアドバイザーの高祖常子さんは、
「遅すぎるというのが正直な感想です。子どもの権利、子どもを守るといった観点からもっと早く改正すべきだったと思います」
と語る。なぜ、70年も変わらなかった条例が変わったのか? 厚生労働省の担当者は、
「平成31年に、全浴連(全国公衆浴場生活衛生同業組合連合会)から要望書が出されました。男湯に嫌がる女の子を入浴させている、女湯に高学年の男の子が入っていた、などのクレームがあり、問題が生じていると。長い間改正されていないとの指摘と要望を受けたことが改正のきっかけとなりました」
と説明する。この指針の改正を受け、全国の自治体で条例を見直す動きが相次いでいる。前出の高祖さんは、
「70年前の子どもと現代の子どもでは、個人差はありますが成長・発達の度合いが違います。条例が今の時代の実情に合っていなかったということ。児童ポルノといった問題もありますし、何より子ども自身が異性の入っている浴場に入ることへの違和感を抱くこともあるのだと思います」
厚労省の「10歳以上は混浴させない」という指針はあったものの、実際には過去70年に渡って年齢制限は自治体などによってバラバラだったのだ。例えば北海道では、昨年の1月まで混浴の制限は「12歳以上」だった。なぜ、足並みが揃っていなかったのだろうか?
「公衆浴場法という法律の第3条に、風紀などの必要な保持については“都道府県が条例で、これを定める”という項目があります。全国一律に国が決めるのではなく、地域の実情などを踏まえて、それぞれの自治体が制定するものなんです」(厚生労働省の担当者)
国が“指針”を示し、それを元に各自治体が条例を作っている。厚労省の指針改正については、国民に対してアンケートなどを行い、パブリックコメントで意見も募集し、年齢制限の引き下げについては問題ないだろうということで行ったという。
「厚生労働省が行ったアンケートで、子どもに対して“混浴が恥ずかしいと感じた年齢”を聞いたところ6歳が最も多かったそうです」(高祖さん)