虫歯も認知症を招く
怖いのは超悪玉菌のジンジバリス菌だけではない。虫歯の原因となるミュータンス菌も認知症のリスクになるという。
「ミュータンス菌の中には血管壁のコラーゲンと結合する性質を持つものがあります。そのタイプのミュータンス菌が血管に入り込んで脳に到達すると、脳血管のコラーゲンと結合し、脳出血を起こす場合も。この出血が脳血管性認知症を招くことがあるのです」
脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症についで多い認知症のタイプだ。
「歯茎より上の歯はエナメル質によって守られていますが、加齢とともに歯茎が下がって露出する象牙質にはミュータンス菌が入り込みやすく、エナメル質に比べて虫歯になりやすいのです。
つまり、加齢とともに虫歯になりやすくなり、認知症のリスクも高まるというわけです」
歯周病や虫歯の予防には、定期的に歯科医や歯科衛生士による口腔ケアを受けつつ、やはり毎日の歯みがきが欠かせない。
「舌みがき」を忘れずに
歯垢は2日ほどで硬くなって歯石へと変わる。歯石になってしまうと歯ブラシだけで落とすことは難しいため、歯垢が硬くなる前にきちんと除去したい。
「歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくいので、デンタルフロスをして歯垢を落としましょう。さらに、舌をみがくことも忘れないでください。
朝起きると、舌に白い苔のようなものがたまっていますよね。あれは『舌苔』といって、細菌の集合体が舌についたもの。舌の表面は、細かい凹凸が無数にあり、細菌がすみ着きやすい場所なんです」
舌みがきを行うタイミングは、起床直後と夕食後か就寝前の1日2回。
「寝ている間は唾液量が減って口の中の細菌が増えています。そのまま朝食を食べると細菌を一緒に飲み込むことになります。
歯みがきは朝食後でもいいですが、起床後すぐに舌みがきをするのがポイントです」