トンガの噴火による日本への影響

 トンガの噴火は今後、富士山や日本の火山にも影響を及ぼすのだろうか。

「それはないです。トンガは日本と同じく太平洋プレートが沈み込む場所にありますが、8000キロも離れているので関係ありません。火山が連動するポイントはおよそ30キロまでの距離

 ただし、噴火地震と連動すると鎌田名誉教授は指摘。

「富士山はこれまで南海トラフ地震と連動し、噴火してきました。南海トラフ地震は約100年の周期で発生しており、300年前に発生した『宝永地震』ではその49日後に富士山が大噴火を起こした」

 南海トラフ地震は東海地震、南海地震、東南海地震の3つの巨大地震が連動して起きる。富士山に近い場所に震源がある東海地震が発生すればたまったマグマが動かされる。

「富士山はおよそ300年間マグマをためているので規模が大きい噴火になるおそれがあります。ピンポイントでの予測はできませんが、南海トラフ地震は周期が決まっており、2035年から+-5年。2030~2040年の間で必ず起きます。南海トラフ地震が起きたら富士山も噴火する、この予測を踏まえて複合的な災害にも対応できるように備えていかなければなりません」

 私たちの生活は災害と常に隣り合せ。トンガの噴火も今後、被害の全容が明らかになるはずだ。復旧、復興のために何ができるのか。そして私たちも大噴火に何を備えるのか。改めて問われている。

お話を聞いたのは
地球科学 鎌田浩毅さん 東京大学理学部地学科卒業。2021年から京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・京都大学名誉教授。専門は火山学・地球科学。「京大人気No.1教授」の「科学の伝道師」。『地震はなぜ起きる?』(岩波ジュニアスタートブックス)、『富士山噴火と南海トラフ』(ブルーバックス)など著書多数。