約2500年前から読み継がれているお経。身近なようでいてその内容を深く知る人は少ない。しかしそこには東日本大震災やコロナショック、さらには葉物野菜の高騰までが書かれているという。
これを説くのが、怪談説法で知られる『お経から読み解く未来予言 仏教コード』(Gakken)の著者、三木大雲・蓮久寺住職だ。
本書では、お経の解釈と諸説を交えながら、これから起こり得る大地震や食糧危機の予言を具体的に説明している。また三木住職は、宝くじ1等当せんを予言し的中させたことも公表。その言葉に一層の説得力があるのだ。
「怪談説法」はこうして始まった
次男として生まれた三木住職は継ぐ寺がなかった。貧乏生活が続いていた25年前、「寺がなくても僧侶としてできることはないか」と模索する中、思いがけない出会いが訪れる。街で暴走族の若者たちに声をかけたのだ。
「霊的な現象を感じやすい体質なので、彼らの興味を引くために自らの不思議な体験を話しました。すると彼らは僧侶が話す怪談に耳を傾けたのです」
そのときの怪談はこんな話である。
「私は鼻が利くので、人の気分や病気のにおいまで感じ取ることができます。ある日、本屋で立ち読みしている男性からがんのにおいを感じ、勇気を出して声をかけました。
『大変失礼ですが、あなたからがんのにおいがします。すぐに病院へ行ってください』と。驚いた彼は『ありがとうございます。声をかけてくださってうれしいです』と言いましたが、その場を動こうとしない。
もう一度『一緒に病院へ行きましょう』と言うと、彼はこう答えたのです。『お坊さんだから言いますが、実は私、去年の12月4日に死んでいるんです』。そして目の前からふっと消えてしまいました」

暴走族の若者たちは住職の話に驚き、そのうちの一人が話し出した。自分も「お化け」だと。
「今でいうネグレクトを受け、親から存在を完全に無視されているという意味だったんです。だから声をかけられてうれしいという気持ちがよくわかると。そのとき、怪談は人の心に響くのだと気づきました。
こうして彼らと『怪談からお説法をする会』を立ち上げたのです。それが『怪談説法』の始まりでした。彼らとの出会いは私の原点でもあります。
『仏教コード』というタイトルも当時の彼らと一緒に決めました。ずっと語り続けてきた説法に、満を持して出版する機会をいただきました」
大人になった彼らとの交流は、今も続いているという。