未成年の投げ銭トラブル防ぐには

 ただ、投げ銭がここまで受け入れられたのは、投げ銭の仕組みや配信会社の仕掛けだけが理由ではないという。

「いま『推し事』という言葉が流行っているのですが、日本には昔から好きな俳優や歌手などを一途に応援する『推し』の文化があります。もともと、投げ銭が広まる土壌があったのです。例えばユーチューブでは世界中にライブ配信者がいますが、ある調査によると、2021年の年間投げ銭獲得額では、1位から9位までを日本の配信者が独占しています。ちなみに1位の『潤羽るしあ』の獲得額は2億円弱にもなります」

潤羽るしあ hololive(ホロライブ)公式サイトより
潤羽るしあ hololive(ホロライブ)公式サイトより
【画像】2021年、投げ銭で約2億円を稼いだ美少女Vtuberの「潤羽るしあ」

 韓流ではひと昔前ならヨン様、現在ならBTS、さらには宝塚や歌舞伎に至るまで、好きだから応援したくてグッズをたくさん買う、推しのために遠くてもコンサートなどを見に行くといった行動は、理解できるだろう。そのオンライン版が投げ銭なのだとすれば、若い世代がついやりすぎてしまうのもうなずける

 では、どうすれば未成年の投げ銭トラブルを防げるのか。

「大人ができることとしては、スマホやクレジットカードの管理を徹底すること。クレジットカードの番号はもちろん、スマホのロック解除の番号も子どもに教えないほうが安全です。また、子どもの思いを頭ごなしに否定しないことも大切。否定されればされるほど、子どもは抜け道を探して投げ銭をしようとしますから」

 トラブル回避の具体的な方法は、「高額投げ銭トラブル撃退! 7か条」を参照してもらいたい。

 投げ銭も推し文化のひとつの形。大人も子どもも、節度をもって楽しく「推し」と付き合っていきたいものだ。

※イラストはイメージです イラスト/かべともえ
※イラストはイメージです イラスト/かべともえ

●高額投げ銭トラブル撃退! 7か条

(1)子のスマホの機能を制限
 子どものスマホに、決済機能などを制限する「ペアレンタルコントロール」をかける。
(2)暗証番号を教えない
 クレジットカードの暗証番号は絶対に教えない。誕生日など推測しやすい暗証番号は避ける。
(3)必ずログアウトする
 勝手に決済できないよう、一度決済したアカウントからは必ずログアウトしておく。
(4)カードなどの明細を確認
 クレジットカードの支払い明細などは毎月必ず確認するようにする。
(5)リビングでスマホを使わせる
 親の見えるところでスマホを使わせる。音声も聞こえるようにしておくのがベター。
(6)サービスや課金方法を知る
 子どもが使っているアプリのサービスや課金方法について、子どもと確認しておく。
(7)全面禁止せずに話し合う
 親子双方が納得できるように、ルールなどについて話し合っておく。

教えてくれたのは……高橋暁子さん
成蹊大学客員教授・ITジャーナリスト。スマホやインターネット関連のトラブルに詳しい。著書は『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など多数。NHK『あさイチ』ほかメディア出演多数

《取材・文/高宮宏之》