ここにきて、相次いだ大物芸人らによる苦言。その背景に「各局の番組制作の現場があると思います」と、情報番組に携わる制作会社ディレクター。
「毎日のようにスタッフの元に“○○さんが陽性です、濃厚接触です”と連絡が入っては代役を手配したり、構成や企画にも変更が生じるのはもはや日常の光景。現場に入らないとその日の撮影スケジュールや対応がわからない、というのもザラです。
それに空調設備は整っているとはいえ、“密室”になりやすいスタジオで陽性者が出たら、特に本番時にマスクを外す出演者は濃厚接触者に特定されやすいのだと思います」
コロナ禍でテレビ界は疲弊
芸能人のコロナ感染ニュースとともに、番組の撮影ストップや感染者や濃厚接触者の代役起用などが連日報じられている。
「制作会社にとって、“人手が足りないから番組が作れません”は仕事を失うのと同じこと。芸人さんやタレントさんも代役を立てられたら、その分のギャラが支払われないかもしれません。しかも無症状、濃厚接触だけであれば自宅でじっとしていられないでしょう。
松本さんとたけしさんは、この2年間のテレビ界の現状を目の当たりにしているから声を上げたのでは? 何もコロナで疲弊しているのは飲食店だけではなく、様々な業種、企業が補償も、保証もなくルールに従っているんですから」(同・ディレクター)
1月24日、経団連の十倉雅和会長は世界各国の工夫に習って《社会経済活動を回していくべき》と、濃厚接触者の10日間待機のルールの早期改善を政府に要請した。
国民にこれまで要請ばかりしてきた政府。得意の「聞く力」を持つ岸田文雄首相は、影響力ある大物芸人らの“要請”も聞くのだろうか。