「レディコミの女王」として、73歳の今も第一線で活躍する漫画家の井出智香恵さん。
先ごろ、なんと国際ロマンス詐欺の被害に遭っていたという壮絶な体験を告白したことでも話題になった。
そんな井出さんが、嫁姑の壮絶な闘いを描いた代表作『羅刹の家』の連載から実に32年ぶりに週刊女性に戻り、健筆をふるっている。
現在は『令和版 羅刹の家』シリーズを掲載中で、その第1弾となる『愛は濁流の中に』が電子書籍で配信され好評だ。
羅刹とは、人をたぶらかし、血肉を食らうという地獄の悪鬼。悩める女性の心に棲みつき、憎しみを募らせる――。
そんなおどろおどろしい説明から物語は始まる。
頼りない夫・忠夫と、幼稚園児の長男・一樹と都内で暮らす主婦の中島桂は、一人息子である忠夫を溺愛する姑・佐知子の日々の嫌がらせに攻防しながら生活している。
近所に住んでいる姑は事あるごとに息子夫婦の家にやってきては、さまざまな事柄に口を出す。とはいえ、桂も黙ってはおらず、そのつど反論する。
しかしそんな母親と妻の諍(いさか)いに疲れた忠夫は、ある日突然失踪してしまう。
桂のせいだと怒り狂う姑に対し、桂はある条件を出し、姑に金を出させて探偵事務所に忠夫の捜索を依頼する。
果たして見つかった忠夫はホームレスとなり、河川敷で暮らしていた。
自分が捜索されていたことに気づいた忠夫から、桂宛に離婚届が届く。
そのころ姑は、桂の目を盗んで、忠夫の暮らす河川敷へ食べ物を届けていた。
桂が姑の後を追い、忠夫のもとへ行くと忠夫はコロナと見られる症状で、高熱にうなされていた。そんななか、忠夫は桂に離婚を言い渡す。そのやりとりに、勝利を感じる姑。
その後ほどなくして、忠夫の暮らしていた場所から、不審火が上がる。忠夫の命は――。
物語は予想もつかない衝撃の結末を迎える。
なお、その前シリーズである『明日には愛の光~獄夜に輝く復讐の刃~』では、結婚と家族をめぐるサスペンスが描かれており、第2弾の『明日には愛の光2 ~鬼子母神と契約した女~』では一転して、凶悪犯罪により大切な一人娘を奪われたシングルマザーの絶望と闘いがテーマとなっている。
『愛は濁流の中に』も『明日には愛の光』シリーズも、妻、母、そして女という立場でもがき苦しむ人々が、どう光を掴んでいくかを丁寧に描いた珠玉の作品だ。ぜひご一読を!
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