ひきこもりの子ども 心の傷に気づいて

 まずは挨拶から始めること。「おはよう」「寒くなってきたね」など、日常のさりげない言葉で構わない。それが子どもの存在を承認し、かけがえのない存在だと伝えることにつながるという。

 ひきこもる中高年の子との関わり方について桝田さんは、

ひきこもりの方は、自分の存在が必要ではない、必要とされていないと感じています。だからこそ子どもを無条件に愛し、肯定することが大事なんです。まずはわが子の話を否定せずに受け入れてあげてください。『そうなんだね』といった受け答えの返事だけでいいんです」と言う。

 子の心の傷は何なのか。なぜひきこもっているのか。ポジティブなこともネガティブなことも、一切否定せずに聞き入れることが大切だ。そうすることで本人は少しずつ前向きになっていくことが、心理学的にも証明されている。

『最後まで自分を尊重し、理解してくれようとしてくれた』『最後まで自分の命、存在を大切にしてくれた』。これが親亡きあと、子どもが生きていくために必要な思い。心に最後まで残るメッセージだと思います」(桝田さん)

(取材/オフィス三銃士)