「偽造書類を出したと思うんです」
「もしもし」
男性の声が聞こえてきた。
─Sさんですか?
「そうですけど」
「規模を縮小して行う予定です。今回のトラブルの発端は昨年の12月28日に『芸研』が“うちはもうできない”と言ってきたんですよ。なにより『芸研』はうそばっかり」
─会場の申請を取り下げたのはなぜ?
「県の窓口に行ったら、すでに取り下げの書面が準備されていて“サインしてください”って言うので、名前を書きました。おかしいでしょ? 誰かが仕組んだんですよ」
そこで週刊女性は会場となるはずだった施設を管轄する鹿児島県地域振興局に確認すると、
「1月19日にイベント開催に関する話し合いの中で、主催者が申請を取り下げたいと言うのでこちらで書面を準備し、サインをいただきました」
とのこと。これについてSに聞くと、
「きっと『芸研』が偽造書類を出したと思うんです。おかしいですもん」
─会場の使用許可を得てないのに、チケット販売を?
「許可はもらっていないけど、許可をもらうように動いていましたから。そもそも、アイドルヲタクを鹿児島に呼ぶイベントをするつもりはなかったんです。ブッキングも『芸研』がやると言ったんですから」
─コロナを理由に中止にして、チケット代金を得ようとしていたのでは?
そう問い詰めると、電話は切れた。約1時間にわたってSと話したが、途中、冒頭のような発言もあった。
Sについて取材を進めると、こんな話も聞こえてきた。
大手食品卸の広報が話す。
「昨年もSはイベントを企画していましたが、弊社の名前を勝手に協賛に入れていたんです。本当にいい迷惑でした。確か、そのイベントはコロナで中止になったはずです」
これ以上、Sの被害者が増えないことを願う。