裁判長からの質問に相田さんは……
ーーあなたは社長に対して申し訳ないと言いながら、社長がしてもいないセクハラをしたと(福田さんに)言ったことは不法行為、名誉毀損、犯罪だと思いませんでしたか?
「福田姉妹が怖く、保身のために嘘を言ってしまいました」
ーーそれは社長を困らせることになるのに、なぜそんなことを言ったのですか?
「保身のためで自分の弱さです」
ーーあなたは保身のため嘘を言えと言われたら言うような方なんですか?
裁判長の質問に相田さんが言葉を詰まらせる場面だった。“福田姉妹が怖くて”という相田さんの証言が腑に落ちないのには理由がある。
「会社側は福田姉妹が社内で権力を持ちすぎているという主張をしていましたが、龍角散はオーナーカンパニーで株の90%を保有する藤井社長が絶対的な権力を持っているのは明らか。
現に、由紀さんはセクハラ調査をしたわずか3日後には自宅待機を命じられて、姉の亜紀子さんも役職を解かれて工場へ異動させられた後、自宅待機を命じられているんですから」(会社関係者)
セクハラを認めようとしない会社側の主張に裁判は長引くと思われていたが昨年12月1日、突如、会社側は和解を承諾してきた。一体何があったのか。
「12月1日の非公開裁判において裁判長が長時間にわたり会社を説得して最終的に会社が折れました。その代わりに会社が主張した条件とは“解雇撤回”、“解雇無効”という言葉を使わないこと。守秘義務を外すということです」
と、原告の由紀さんが取材に応じてくれた。