またテレビ番組『驚異の霊能力者 宜保愛子』では、渡辺正行が子ども時代を過ごした実家の様子を詳細に言い当てていた。驚くことに、霊視した当時その家はなく、新しく建て替えられてしまっていたのにもかかわらずだ。ほかにも舛添要一の自宅に飾ってあった絵のことや、福澤朗の自宅の間取りや置いてあるオーディオ機器のこと、山口美江さん(享年51)の飾り気のない部屋の様子などもピタリと言い当てている。

『日曜スペシャル これが宜保愛子の霊能力だ!』ではフリーアナウンサーの逸見正孝さんの発病も予言。

逸見さんには胃がんで亡くなった弟さんがいたんです。宜保さんは“このままだと兄も僕と同じ病気になるから気をつけて”と弟さんが言っていると逸見さんに忠告。そのわずか1年後、逸見さんは胃がんで亡くなりました

 '99年、コンピューターが誤作動するのではないかと「2000年問題」が騒がれた。当時、宜保さんはネット上で活発に活動していたという。'00年に、心霊現象を否定する大槻義彦教授が「霊能力というものの存在が証明されれば、私は大学を退職するし、これまで書いた本をすべて絶版にします」と宣言したことで、宜保さんはテレビから姿を消し、「電脳武装化中」であると週刊女性で報じている。そして記事は「閉ざされた場所ではなくて、再びテレビという舞台で、自らの主張を論じてほしい」と結んでいる。しかしまだ電話線でネットへ接続する“ホームページ黎明期”であった20年以上前、すでに現代のネット社会を先取りしていた宜保さん、これぞ慧眼と言うほかない!?

霊は本質的に悪いものじゃない

 霊能者といえばおどろおどろしいイメージだが、宜保さんは明るい人としても有名だった。

よく笑う人でした。ミーハーでお笑いが好きな一面もあったんですよ。相手が傷つくことは絶対に言わなかったし、霊の存在を脅しに使うようなこともしなかった。霊能者である以前にいい人でした

 と、宜保さんの書籍を担当した編集者の五十嵐咲江さんが人柄を振り返る。

 1991年にはアイドル誌の『明星』のグラビアを飾り、ファッション雑誌『MORE』では、霊についてこう発言している。

「霊の本質って、決して悪いものじゃないんです。むしろ優しくて、私たちがちゃんとしてあげれば、それなりにきちっとしてくれるのが霊なんです。それこそギブ・アンド・テイクなの。霊の世界はおどろおどろしくない。だから、できるだけ明るく話したいんです」

 とんねるずのバラエティー番組『とんねるずのみなさんのおかげです』では、石橋貴明が宜保愛子さんのパロディー「宜保(イボ)タカ子」に扮し、木梨憲武扮するみのりもんた(みのもんたのパロディー)と女優やタレント、女子アナと心霊スポットなどを巡る「宜保タカ子と行く心霊体験バスツアー」というコーナーがあった。当時、宜保さんがどれほど人気があったのかがわかるだろう。

とんねるず・石橋貴明
とんねるず・石橋貴明

 とはいっても、石橋が「イボイボ……」と言いながら鼻の下にあるイボを触ってニセの霊視を行い、「除霊しないと」と松本伊代や宮沢りえの頭をスカートの中へ押し込むなどしたり、ロケ先ではドッキリや爆破で驚かしてリアクションを取る肝試しのような内容で、小学生たちの間では“イボイボ……”が流行語に。しかし1993年12月30日に放送された富士の樹海へのバスツアーの際、ロケで天然記念物の氷穴を荒らしたり、ゴミを放置して帰ったことなどが問題となり、番組自体が終了(後に『とんねるずのみなさんのおかげでした』として復活)することに。