実際、原作がそのままアニメ化されたと想定して、特別過激な性描写になるのだろうか。

原作者が魂を込めた作品

 BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送基準でも性表現について「過度に刺激的であってはならない」といった文言があるが、漫画誌編集者はこう話す。

原作者の吾峠 呼世晴(ごとうげ こよはる)氏は『週刊文春』の記事などで女性であるとされています。となると、当該シーンを女性蔑視のつもりで描いたとは思えません。

 吾峠氏は『週刊少年ジャンプ』のインタビューで、キャラクターの登場のさせ方について“印象に残ること、特徴があること”に気をつけて、“そのキャラクターの生い立ちや人格などに基づいたセリフを言わせる”ようにしていると語っていました。

 安直なお色気でヒキを狙うような手法は取らないのではないでしょうか

 またコミックス最終23巻のあとがきでは、

何百年も前の出来事も、その時は今でした。今の出来事もまた何十年何百年経つと昔話です。

 おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんにもみんなと同じ子供の時があり、その時と今は繋がっています。

 そしてまた自分も、大きな流れの中で同じように、苦しいことつらいことを乗り越えて歳を重ねていきます。

 もうだめだ、と思った瞬間こそが道を踏み外さないように踏ん張る時です。困難な状況や苦しい境遇に負けないで欲しいです

 と記している。

鬼滅の刃』を見ていても、人間という生き物のリアルを丁寧に映し出し、物語ひとつひとつに強いメッセージを込めていたことが分かる。

 刀で鬼の首を切るシーンや血の描写などこれまでにも、その放送に物議を醸してきた『鬼滅の刃』。深夜帯の放送は子どものいる家族への配慮とも言えるだろう。

 故に、原作者が魂を込めて描いた作品の一部を切り取って、「女性蔑視」と決めつけ排斥しようとするのはいささか性急すぎるのではないだろうか。