日本最古の定期対抗戦
「学習院はもともと、特権階級である華族が一般市民と異なった環境で学ぶ学校として設置され、そこに皇族も入学するようになりました。一般市民とは異なる優美なライフスタイルを持つ子弟ばかりでしたが、それだけに皇族への敬愛もあり、皇族の生き方を理解する学生がほとんどでした」
小田部教授が続ける。
「教員や学校設備も、ふさわしい対応を続けており、戦後に一般の学校になったものの、内部では伝統がまだ受け継がれています。悠仁さまを将来の天皇として教育されるのであれば、学校設備や同級生との関係などに、長年配慮してきた学習院のほうが適していると思われます。一般の教育機関に入っていくことは、いらぬ出費や精神的負担、制度改革などを当該学校や在職者、在校生に負わせるリスクがあります」
未来の天皇陛下の進学先は学習院が適切であるーー。そんな意見も聞かれる中で、学習院OBのひとりも、今回の筑附進学に肩を落とす。
「秋篠宮家の方々は、なぜ頑なに“学習院以外”の学校を選ばれるのでしょうか……。学習院OBの一部からは、怒りにも似た声が聞こえてきます。上皇陛下や天皇陛下、秋篠宮さまなどの皇位継承者の方々は学習院に進まれています。警備体制のノウハウはもちろんのこと、学校職員や保護者にも学習院のOBが多く、皇族の受け入れが理解されやすい学校のため、静かな環境で学ぶことができるはずなのですが……」
そんな中、さらなる“波乱”が起こり得るのが、6月に控えているという。毎年恒例の“定期戦”だ。
「これは学習院と筑附の両校が部活対抗で試合を行う恒例行事。この総合定期戦は1896年の野球と柔道の対抗戦が起源で、何度か中止になることはあれど70回も続く“伝統の一戦”なのです。6月の第一土曜日に各運動部が競い合うもので、学習院側は“附属戦”、筑附側は“院戦”と呼び合っています。
日本最古の定期対抗戦でもあり、応援団やチアリーダーだけではなく、一般生徒たちもこぞって応援する両校の一大イベント。悠仁さまが運動部に入部されたら、学習院と対峙することになりますし、運動部でなくとも応援に参加されることでしょう。でも、未来の天皇がまさか学習院と戦うことになるなんて……」(同・学習院OB)
国民の疑念が払拭されない中、学習院との“6月決戦”で新たな波紋は起きてしまうのか。
山下晋司 皇室ジャーナリスト。23年間の宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立
小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。専門は、皇族や華族に関わる日本近現代皇室史