《得するのはNHKだけだよ!オリンピック一緒に(放送を)やろうって言ってさぁ。(共同で)お金出しといて、民放が放送する種目は裏の(NHK)BSでやるっていうさぁ。なんっていうやり方だ》
2月20日放送のTBS系ラジオ『安住紳一郎の日曜天国』にて、冒頭から愚痴をこぼしたのはTBSアナウンサーの安住紳一郎。この日、19日間にわたって熱戦が繰り広げられた北京五輪における、NHK放送の“やり方”に不満を覚えたようだ。
夏季・冬季五輪のテレビ放送は、民間放送連盟とNHKで構成する『ジャパンコンソーシアム』が、国際オリンピック委員会(IOC)に放送権料を支払うことで可能となる。その後に各局で放送種目を振り分けるのだが、放送権料の7割はNHKが負担とされているために当然ながら優先されるのはNHK。
ちなみにIOCに支払われた放送権料は2018年・平昌五輪と2020年・東京五輪の2大会で660億円、今回の2022年・北京五輪と2026年・パリ五輪を併せて440億円だ。
それだけに、例えば小林陵侑選手が金メダルを獲得した「ジャンプ 男子ノーマルヒル決勝」、平野歩夢選手が出場した「スノーボード 男子ハーフパイプ予選」などの、日本人がメダル獲得した注目競技を中継したTBS地上波放送の裏で、並行して「NHK BS1」も各競技を同時中継していたのだった。
民放なんて潰れればいい
もちろん、この“やり方”はTBSに対してだけでなく、各局がお金を出した競技の裏でNHKも同時中継。どちらを視聴するかの選択は視聴者に委ねられたわけだが、
《今日もどうせNHK総合チャンネルで(同時間帯に中継していたカーリング女子決勝戦を)見るんでしょう。知ってるんだからぁ。民放テレビなんて潰れればいいと思ってるんでしょ。すぐ、みんな言うもんね。“スポーツはNHKで見た方がいいんだ”みたいな。見ればいいじゃないの。民放テレビ、ラジオが無くなってから、どんな感想を抱くか、思い知ればいいわ》
他競技と同様に「スポーツはNHKを見た方がいい」という視聴者の意思を感じ取ってか、危機感と同時にやるせなさを感じたのだろうか。もちろん、笑いを交えてのトークではあったものの、《これ、語尾がキツかったらかなり問題発言ですからね》と言う安住アナの“テレビマン”としての本音が垣間見えた瞬間でもあった。