目の不調は身体の不調を表す

老眼でスマホがつらいという方も試してみては ※画像はイメージです
老眼でスマホがつらいという方も試してみては ※画像はイメージです
【図解】簡単10秒!目の寿命をのばす「顔さすり」3ステップ

 顔さすり療法で筋肉がほぐれると、直後にはその効果で視力が向上したように感じられる。ただ、ここで油断は禁物。たった1回の顔さすりで不調がしっかり改善できたと勘違いしてはいけない。多くの場合、その効果は一時的、すぐに戻って元のもくあみになってしまう。ぬか喜びを本当の効果に変えるには、やはり多少の時間は必要だ。もっとも、それほどたいへんなことではない。だいたいひと月ほどで改善がしっかり定着してくる。

 眼科専門の回生眼科山口康三院長も、顔さすりが皮膚や筋肉の滞った血流をスムーズに整える点を高く評価する。一種の生活習慣病的な傾向が目の不調につながるというのだ。

「白内障や老眼の症状は加齢が原因だと思われがちですが、実は年齢だけの問題ではありません。目の不調を訴える患者さんたちは、生活習慣が似ているケースが多いのです。生活習慣を整えることによって、目の症状も改善する患者さんは少なくありません」

 睡眠不足や運動不足は言わずもがな、喫煙、アルコールの過剰摂取、過労、ストレス……これらが原因で視力の低下やかすみ、またドライアイの症状が表れることも多い。

 顔さすりによる血行促進が効くだけでなく、例えば、身体全体の血行改善のために健康な食生活を心がけるのはさらに効果的だ。食生活の見直しでは、日本人が長い間慣れ親しんできた和食中心の食事を意識するのがいい。肉・乳製品のとりすぎはNG。ほかにも食事は腹八分目を意識することや、朝食を青汁にかえる、主食を雑穀や玄米にかえるなど、食生活の改善は目の疾患をよくする基本だと山口先生は言う。

目をよくする方法は目薬以外にもたくさんある

目をタオルで温める女性(※画像はイメージです)
目をタオルで温める女性(※画像はイメージです)

 食生活以外にも日々の小さな習慣で、視力アップや目の症状を改善するさまざまな方法がある。眼科専門医の視点から見ても、やはり血流促進にはウォーキングが最適だそうだ。まずは数十分、毎日継続するところから始めるといい。ただし激しすぎる運動は逆に血流を悪化させてしまうので、注意しよう。

 また、ドライアイが気になる人は、毎日目を温めることを習慣にしてみるのもおすすめ。方法は簡単で、水で濡らしたタオルを軽く絞り、ほどよく温めた蒸しタオルを、目をつぶってまぶたに当てる。目薬だとあくまでその場しのぎの効果しか得られないが、目を温めることで涙の質がよくなり、ドライアイの改善が見込める。これだけで日々のストレス軽減にもつながり一石二鳥だ。

 これらの小さな習慣を意識し、顔さすりとあわせて行うことで予防策としても、高い効果が期待できる。まだ自覚症状がない人も、毎日テレビ、スマホ、パソコンなどのブルーライトを浴び続けていれば、目に疲労がたまっていることは確実。最近では小学生でも目の疲労が原因で視力の低下に悩み、眼科を受診する患者も多くなっている。実際、深刻な病気や症状が表れてからでは遅く、日ごろから予防をしておくことが重要になってくる。

「どうしても現代の生活では目を酷使してしまいがちですが、きちんと目を休ませる時間が必要です。さらに眼精疲労が取れることによって脳の疲れも取れますよ。仕事や家事の合間で軽くマッサージをすることを心がけてみてください」(前述、内田先生)

 目は「脳の出先器官」ともいわれるほど、私たちの身体の中でも非常に重要な器官。だからこそ、目に表れる症状は身体の不調の警告だと認識し、予防や改善に努めることが欠かせない。年齢や症状の有無にかかわらず、ぜひ今日から10秒でできる「顔さすり」を試してみてほしい。

「顔さすり」3ステップを記者(50歳女性・老眼ぎみ)が2か月試した結果

 パソコンやスマホで細かい文字を追い続ける仕事柄、とにかく目が疲れて疲れて……。視力の低下(老眼の悪化?)でこの1年で2度も眼鏡の度数をかえたほど。遠くを見たりしょっちゅう目薬をさしたりとアイケアには余念がないけれど、いまイチ効果は実感できず。

「さするだけ?」と半信半疑でためしたコレ。目まわりがほんのり温かくなって、さすったあとは心なしか目がぱっちり大きくなっている!

 さする前には自分の手をこすって温めておくと、ホットタオル効果に。脳天さすりは、目の疲れからくる首肩のコリにもバッチリ。

 寝る前や、朝起きてすぐにやさしくさすって「手当て」すると心までほぐれます♪

教えてくれた人は……内田輝和先生
●鍼メディカルうちだ院長、岡山県鍼灸師会会長、岡山大学医学部非常勤講師。著書に『10秒顔さすりで老眼、近視、緑内障はよくなる』(主婦の友社)など。

<取材・文/オフィス三銃士>