【実例1】子どもの学費がピーク時に夫が他界
死亡保障金:1500万円
<家族構成>
夫:58歳(他界)生前年収700万円(月収53万円、賞与164万円)
妻:52歳、パート年収36万円(月3万円)
子ども:長男20歳(大学2年生)、長女16歳(高校1年生)
※夫の生涯平均年収500万円、厚生年金加入期間35年。死亡保障は保険金が1500万円のものに加入
<生前の家計>
住宅ローン10万円や私立高校に通う長女の学費5万円などの大きな支出があるため、貯蓄に回せるのは月に1万円程度。年間108万円かかる長男の大学の学費や、固定資産税15万円は賞与でカバー。子どもの進学時に塾代など大きな出費があり貯金は350万円と少ないが、別途、長女の学資保険が200万円ある。
ANSER:妻は働き教育費は公的支援を活用するべし
このケースの場合、住宅ローンは団体信用生命保険に加入していたため、夫の死後は返済額がゼロになる。しかし、生活費や教育費は変わらずかかるため毎月7万円のマイナスになってしまう。食費を減らすなどの工夫はしたとしても余裕のある家計とは程遠くなる。
「ご主人が亡くなった後の不足分を解消するには、支出を削るか収入を上げるかしかありません。
この場合はどちらも実践することをおすすめします。65歳まで月に12万~13万円程度の収入を得ることができれば、不足分をまかなうことができます」
ただし、大きな盲点がある。
「夫が他界し扶養からはずれたことで国民年金保険料を支払わなければならなくなり、収入に応じて国民健康保険料も発生します。
ですから、正社員を目指す、社会保険料つきの仕事に就くといった選択肢も視野に入れて今後の人生設計を考えてみては」
教育費に関してはどのような対応ができるのだろうか。
「一昨年導入された『高等教育の修学支援新制度(大学無償化)』という制度があります。
条件に当てはまれば授業料の負担が大幅に減るうえに、給付型の奨学金を受けることができます。
高校にも授業料を支援する制度がありますし、高校でも大学でも独自の奨学金制度や特待生制度を設けている学校があります」
妻の収入などによってはひとり親家庭の支援金が支給されることも。こうした公的支援をきちんと受けられるよう、早めに自治体やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することが肝心だ。
<やることリスト>
・正社員または社保つきの仕事を探す
・「大学無償化」に当てはまるかどうかを調べる
・高校の支援制度を調べる
・ひとり親家庭の支援金について自治体に問い合わせる
・ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談する