“番組の企画”、であればなんでも良いのか。
《情報を拡散することで知らず知らずのうちに犯罪に加担してしまう場合もあるので自分自身も普段から注意していますが、今回は企画として本人の許可を得て拡散させて頂いています》
山之内はこのようにもツイートしている。この件に関する彼女のツイートの文面には謝罪を示す絵文字が多用されていた。しかし、本来それを示すべきなのは……。
「写真と名前を投稿された人はあらかじめ番組が許可を取った人物でしょうが、SNS上で本当に特定されることで、さらには個人情報が不当に拡散されてしまったら、番組側はどうするつもりだったのか……。
コンプライアンスを遵守するために面白い番組が作りづらくなっているなどとも言われますが、配慮がなさ過ぎるのではないでしょうか。過去の“捜索番組”でも、視聴者に情報を呼びかけるものもありましたが、それは“番組宛て”に送られるもので、SNSのような誰でも閲覧できる場所で公開されるようなシステムではなかったはずです」(前出・ITジャーナリスト)
テレビ朝日に問い合わせると…
事実、山之内のツイートについてはSNS上で以下のような声が一部で上がった。
《芸能人とテレビ局の名を使って、名前と写真しか知らない方の個人情報を集めることにどういう意味があるのでしょうか》
《すずさんは番組側に言われるがままにツイートしただけだと思いますので、こういう企画を番組にしようとするテレビ局の浮世離れというか、無知さにより、フォロワーに誤解を生んだって感じですね》
《思わずRTしてしまいましたが善にも悪にもなり得るものですから そこら辺は強調して伝えてもらいたいです》
雑誌に芸能人の自宅住所が掲載されるなど、昭和や平成初期のような、“個人情報”や“プライバシー”というような言葉もなかった時代は今では考えられないようなこともあった。しかし時代は令和である。
「“想定外が重なって出演者が怪我をしてしまった”というようなケースは、少なからずテレビ業界では起こってきたことです。当然ながら起こってはいけないことではありますが、それらはあくまで“事故”です。
今回のケースはSNSを利用すること、またその拡散力を想定できなかったのであれば、それは番組作りの上で考えが浅はかであるし、想定したうえで行っていたのなら個人情報やプライバシーへの配慮の気持ちが希薄すぎるのではないでしょうか」(芸能ジャーナリスト)
テレビ朝日広報部に今回の件を問い合わせると、ひと言のみ回答があった。
「複数のご指摘を受けており、内容を精査いたします」
番組名及び放送予定日、番組のために投稿した山之内自身にも批判の声が上がっていること、また番組制作スタッフらの本企画におけるプライバシー意識についても問い合わせたが、回答はなかった。
しかし問い合わせたその後、この企画については再検討されているようだ。
「各所の指摘を受け、企画の放送自体をイチから見直しているようです」(テレビ局関係者)
バラエティー番組を生んだ昭和、最大のメディアとして高視聴率争いとなった平成、そして時代は令和。テレビ制作陣の“意識”は果たしてどこにあるのだろうか。