志村けんさんの代表作『バカ殿』の常連だったダチョウ倶楽部
志村けんさんの代表作『バカ殿』の常連だったダチョウ倶楽部
【写真】山田裕貴そっくり!ドリフ加入前の志村さんがイケメンだった

 コントに加え、私生活でも薫陶を受けた。とりわけ、上島さんは「俺の彼女か」と志村さんから言われるほど、行動を共にした。

「僕が学ばせてもらったのは芸というより、酒の飲み方とかクラブの女性との付き合い方(笑)。やりたくもないのに、志村さんの号令でホステスさんと同伴までして。クラブに着くと、『初同伴おめでとうございます』ってママたちから祝福されて、なんなんだよコレ!って」(上島さん)

「上島さんはお酒の席でよく志村さんからダメ出しされていたよね。『お前は、くるりんぱとか顔の周りでチラチラやるせこいギャグばかりだよな』とか。言いすぎたと思ったのか、志村さんはトイレに行くときに『ごめんな』って。でも、上島さんは志村さんがトイレに入るのを見て、『あんただってアイーンとか顔じゃねーか』って」(肥後さん)

「ちょっとそれ言わないでよ(笑)」(上島さん)

期待される“志村イズム”の継承

 素顔の志村けんさんを知るふたり。2021年12月に放送された『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)に話が及ぶと、同ドラマに出演した肥後さんは、「志村さんを演じた山田裕貴君の雰囲気が、志村さんに似ていて驚いた」と教える。

楽屋の志村さんは、本当に物静かでナイーブな雰囲気があるんですよ。山田君は緊張していたからかもしれないけど、考え込むような雰囲気がそっくりだった。若いときの志村さんって、こんな感じだったんじゃないのかと思えたほど」(肥後さん)

インタユー取材に答えるダチョウ倶楽部・肥後克広と上島竜兵
インタユー取材に答えるダチョウ倶楽部・肥後克広と上島竜兵

 寵愛を受けたダチョウ倶楽部。一ファンとしては、志村イズムを継承してほしいところもあるが─。

「いやいや僕らじゃないでしょう(笑)。無理ですよ。志村さんから学んだことを、軽いアドバイスとして若い芸人たちに伝えていくことはできるかもしれないけど、あまりに偉大すぎて」(肥後さん)

バカ殿とか変なおじさんとか、同じネタばかりやっているのに、あれだけ人を魅了して、何度も爆笑をとれる人は、もう出てこないでしょうね。俺たちも『ヤー!』とか同じことばっかりやってるけど、雲泥の差ですから(笑)」(上島さん)

ひご・かつひろ うえしま・りゅうへい 1985年、お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」結成。「訴えてやる!」、「聞いてないよォ」といったギャグやパフォーマンスなどで人気を確立。トリオとしてだけでなく、個々でもバラエティー、映画、ドラマなど、幅広いジャンルで活躍中。

取材・文/我妻弘崇