Aさんは、仕事上の立場もあり、拒絶の姿勢を強く表すことができなかったという。
「写真展はすでに告知されていたので、ファンの方々のためにも撮影を中止するわけにはいかなかったんです。この撮影以降、LINEなどで一方的に好意を伝えられるようになり……」
指先を1本1本舐められる恐怖
あからさまに断ることはできず、それとなくかわすようにしていたAさん。しかし、2度目の撮影でも、藤里の暴走は止まらず……。
「'21年2月、“撮影をしたい”と言われ、都内のシティホテルにデイユースで入りました。途中までは普通の撮影だったんですが、ベッドの上で下着姿のシーンになったとき、いきなり抱きついてきて鏡越しに2ショットを撮られました。そのまま“好きって言って”と言われ、応じなければ予定されていた写真展の話がなくなってしまうかもしれないと思い……。精神的にも肉体的にもつらい状態で、恐怖心から“好き”と返さざるをえませんでした」
藤里にとっては、これが“撮影”なのだろうか。Aさんの恐怖は、まだ続いた。
「その後、カメラをソファに投げて、キスしようとしてきたので顔を背けたんです。そしたら、腕をつかまれ、指先を1本1本なめられ……。上手くあしらって逃げようとしましたが、なぜかパンツ姿になっていた藤里に、今度は上に乗られて下着越しに下半身を押し付けられました」
度重なる性被害を受けたAさん。その後も藤里からの連絡は止まらず、返事をしなくてもメッセージが届き続けたという。
「当初は写真展のためにこらえていましたが、我慢の限界で……。《誤解を与えてしまったようで申し訳ないですが私は付き合っているつもりもないです》と、はっきり伝えました。すると、《僕はAのことが大好きでした。だから余計に想いが先走ってしまったのかもしれません》と。彼にとってはそうなのかもしれませんが、私が受けた行為は立派な性被害です……」
この時点で、Aさんは藤里の写真家デビュー25周年を記念する写真展に向けすでに撮影をされており、藤里からは《25周年の作品もご協力いただけたら》と伝えられていたものの、結局その写真展のモデルは別の女性に変えられたという。
そもそも、好意の有無は被害女性にとっては関係のないこと、しかし“好意”を盾にするのが藤里のやり口だという。
「“好きだよ”と繰り返し伝え、相手に本気の好意だと思わせて性加害を行うので、みんな訴えにくいのかもしれません……。同様の被害を、私はほかの女性からも確認しています」
藤里の行いについて、彼が主宰する写真スクールの生徒から連絡がきたことも。
「性被害を心配するような連絡がきたので、事情を明かすと《やっぱり…》と返事が。生徒の間でも、ある程度認識されていたんだなと思いました。藤里から受けた被害について、Bさんという女性は訴訟を起こし、裁判で闘っているとも聞きます」