下手すると“こけし”、高難易度の明菜ボブ
そして154票を集めたのは、リリース当時も髪型と衣装が話題になった『DESIRE─情熱─』。
「あのカツラと衣装が衝撃的でした」(北海道 50歳 会社員)
「小さいころ、『DESIRE』の衣装がどうしても着たくて、母にお願いして浴衣や着物をリメイクして同じようなものを作ってもらいました。それを着て明菜ちゃんごっこをしていたのがいい思い出です」(青森県 42歳 会社員)
明菜自身が衣装などセルフプロデュースしたとも報じられ、バックダンサーも明菜と同じボブのウィッグをつけていた。
「ミディアムボブで、一直線の前髪が特徴のウィッグですね。一直線のパッツン前髪が艶っぽい女性像を演出しているように思えます。この髪型を一般の人がやろうとすると、難しいというわけではないですが、かなり個性的な印象になると思います」(NAYAさん)
この言葉のとおり、アンケートのコメントにはこんな声も。
「彼女をまねて、前髪パッツンのおかっぱにしたら、周りからすごく不評で……。まあ、自分でも似合わないと思っていたのですけど」(千葉県 52歳 専業主婦)
こんな声に対してNAYAさんは、
「下手すると、こけしみたいになってしまいますよね(笑)。地毛でああいったきれいなボブに仕上げるのは難しいんです。明菜さんの場合も、ウィッグなのでうまくいってたのかもしれません。あと、あの衣装だから素敵に見えるという部分もあるのでは」
そして122票の『禁区』と106票の『少女A』は、どちらもまとめ髪。しかし、ちょっと雰囲気が違う。
「『禁区』のヘアスタイルは、髪全体をコテで巻いた後、高めの位置でラフにまとめて、前髪と顔周りをふんわりさせた、可愛らしいポニーテール。『少女A』は髪にボリューム感を出すだけの軽いパーマをベースに、毛先が外にはねるようにブロー。女の子らしさを出して、片側の耳上の髪の毛だけを縛ります。元気でやんちゃな感じが出ていますね」(NAYAさん)
『禁区』のポニーテールにはファンの思い入れが強いようで、コメントも多かった。
「ポニーテールの形が独特で可愛かった。合わせているイヤリングも特徴的で、友達とよく話題にしていました」(岡山県 47歳 教師)
「明菜ちゃんのポニーテールが大好きで、髪型や洋服などをまねて休みの日にお出かけしていました」(岡山県 57歳 専業主婦)
「高校時代、明菜さんをまねしてパイナップルポニーテールにしていました」(京都府 53歳 パート)
高い位置で髪をまとめ、その形が似ていることから『パイナップルポニーテール』と呼ばれていたようだ。NAYAさんは「この呼び方は初めて聞いた」と笑うが、明菜のポニーテールは、今も撮影の現場で話題になるという。
「最近、'80年代や'90年代のファッション人気が来ていて、撮影のときにポニーテールで高めの位置で髪の毛を結んだり、明菜さんが当時やっていたようなピンクパールのリップなども使ったことがあります」(NAYAさん)
明菜と同時代を生きてきた人たちはもちろん、'80年代を知らない世代にも受け入れられる彼女のセンス。NAYAさんは、改めて明菜に対する印象をこう話す。
「自立した女性というイメージを最初から作り上げているんだな、と。媚びてないですよね。デビューして、ポニーテールくらいまでは“可愛らしい”を意識していたかもしれませんが、かなり早い段階からご自身の意見をスタッフに伝えていた、なんて話を聞くと、自分が進みたい方向がわかっていたのでしょう」
5年間、ファンの前に姿を見せていない明菜。彼女を慕うファンたちの声は、届くのか─。
〈取材・文/蒔田 稔〉