女性蔑視と聞いて、真っ先に政治家の問題発言をイメージする人もいることだろう。「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」「女性というには、あまりにもお年だ」などと発言した森喜朗元首相をはじめ、枚挙に暇がない。日本では国会議員に占める女性の割合は14・3%。女性が少数派な政治の世界で、普段から「女性を貶めるような“冗談”で笑い合える」男性たちに囲まれているからこそ、差別発言は量産され続けてきた。
「男性同士のかばい合いもありますよね。“女癖は悪くても有能なやつだから”と、セクハラを問題にするどころか“あいつはモテるんだ”と肯定的に語ったり、“あんな有能な人がセクハラごときで”と被害を矮小化したり。批判の声が上がっても結局、そういう“空気”にかき消され無効化されてしまうのでしょう」
女性議員による女性蔑視発言も
残念ながら、女性蔑視や差別発言をする政治家は男性ばかりではない。
「男女平等は絶対に実現しえない反道徳の妄想」と国会答弁で述べた杉田水脈衆院議員は、雑誌でLGBTを「生産性がない」とも発言。性暴力被害者支援の議論の中で「女性はいくらでもウソをつける」と発言するなど「ついうっかり」ではない、確信犯的な差別発言を繰り返している。
「杉田議員の差別発言は理解できないですし擁護する気も一切ありません。けれども、圧倒的な男社会の中で少数派の女性が認められるために、男性たちの本音をなぞるかのような振る舞いを極端に強調することで、生き残ろうとする女性たちもいるのでしょうね。男たちに向けて“私はちゃんとわかっている女です。わきまえない女性たちとは違いますよ”とアピールせざるをえないのでしょう。少数派が陥ってしまう、罠のひとつだと思います」
政治家による女性差別発言を見ると、「子どもを産まない女性」に対する偏見が目立つ。杉田議員の「生産性」発言をはじめ、森元首相は子どもをつくらない女性について「年とって、税金で面倒みなさいちゅうのは本当はおかしい」と発言。麻生太郎自民党副総裁も少子高齢化について「(年を)とったやつが悪いのではなく子どもを産まなかったほうが問題なんだ」と話し、批判を集めた。
「子どもを産まない女性に税金を使うのはおかしいとか、本当にひどい発言ですよね。“産めよ増やせよ”と女性に強いた戦前の価値観を今も引きずっているとしか思えない。女性を独立した対等な人格として見ていないんですね。過度に胸を強調した類いの“萌え絵”もそう。女性が、性的対象かお母さんしかいないかのように扱われるのは本当におかしなことです」