Q.コロナで十分な看取りができず…心残りのない葬儀ってある?
A.「遺体ホテル」のような安置施設を利用する方法があります
「コロナ禍では、ご家族が病院や施設で、十分な時間を持てないままお別れを迎えるケースが多くありました。どんなに覚悟ができていても、看取りができないのは遺族にとって心残りです。
そんな場合は、ご臨終からお通夜(葬儀なしで済ませる場合は火葬)までの間、葬儀社の式場に併設されている安置室の利用をおすすめします。最近は通称「遺体ホテル」と呼ばれている遺体の安置を専門とする施設もあります。
安置室では故人とゆっくり過ごすことができます。仮眠や軽食をとることができる施設もあり、また、僧侶を呼んでお経を上げてもらったり、ご家族が集まって棺にお花を入れたりすることもできます」
Q.葬儀への参列は遠慮するけど、香典は渡したい。失礼のないお悔やみの仕方は?
A.喪主のご自宅に宛てて現金書留で送りましょう
「コロナ禍ではやむをえず葬儀に参列できず、香典だけを渡したい場合もあったと思います。香典は必ず不祝儀袋に入れて、郵便局の現金書留で送ること。お悔やみと参列できなかったお詫びの手紙を添えると、より丁寧です。
現金書留は日付指定で送ることができません。香典の到着が葬儀に間に合わない場合は、葬儀の2~3日後から1週間を目安に、喪主のご自宅に送るといいでしょう」
Q.老親の知り合いから葬儀の案内状が届いた。親に代わってうまく断る方法を教えて?
A.親の代わりに弔電を送るのがいいでしょう
「長く交流が途絶えている親の知り合いなどから、突然訃報の連絡を受けることもあります。香典をお渡しするほどの間柄ではない場合は、お返しが不要な供物を送るか、弔電を打ってお悔やみと、高齢のため葬儀に出席できないというお詫びの気持ちを親に代わって伝えるといいでしょう。
かつて弔電には、取り急ぎお悔やみの気持ちを伝えるという形式的な意味がありましたが、最近は丁寧なお悔やみツールとして利用されるようになっています。文例も豊富で、お線香やお花とセットになった手頃な価格の弔電も用意されているので積極的に活用しましょう」
老親の代わりに送る弔電の文例
ご逝去の報に接し、母も私も
深い悲しみに暮れています。
本来ならば母が拝眉の上、
お悔やみ申し上げるべきところでございますが、
母も高齢のため、お伺いできないことを
どうぞお許しください。
心からご冥福をお祈りいたします。
Q.葬儀をしないことに。どのタイミングで周りに知らせるべき?
A.四十九日などの法要を済ませてからお知らせするのも手です
「葬儀をしなかったり、家族葬などで簡単に葬儀を済ませ、そのあとで通知状を出して逝去を知人に知らせるという方法があります。
通知状を出すタイミングに決まりはありませんが、家族葬などが終わった直後は役所や銀行への届け出や片づけなどであわただしく、通知状の準備どころではなくなってしまうことも。四十九日の法要や納骨を済ませてから、ご連絡するのもひとつの方法です。
最近は、葬儀を身内だけで済ませ、四十九日法要の代わりに偲ぶ会やお別れ会が開かれることもあります」
Q.一人暮らしだからもしもの時が心配。葬儀社って生前に予約可能?
A.本人が葬儀の手配を済ませておく、生前予約を検討する方が増えています
「離れて暮らす家族や親戚に、いざというときに迷惑をかけたくないからと、生前に自分の葬儀の予約をしようと考える人もいます。生前予約のメリットは、斎場、参列者、遺影の写真、演出、会葬礼状の文面、食事や返礼品の内容などを自分で決められること。葬儀費用の一部を掛け金として払い込んでおく互助会を利用する人もいます。
葬儀の事前相談は無料の場合が多いので、いくつかの葬儀社に相談をして見積もりをとり、検討するといいでしょう」
〈取材・文/村瀬航太〉