最近では、中国でのコロナ再流行の影響も。
「穀物系は争奪戦。コロナを封じ込めるために上海をロックダウンしたことで、経済が滞る影響がいわれていますが、実はそのなかで、中国は国民の食糧確保のため、大胆な買い占めに走っている。大豆などは、世界の供給量の51%までが中国に押さえられたという話さえあります」
需要と供給のバランスが大きく崩れるなか、高騰していく穀物の相場。そこに、すっかり安くなった円で勝負を挑んでいかなければならないのが今の日本だ。
家計はさらに悪化、打つ手はあるのか
消費支出のなかで、食料費が占める割合を指すのが「エンゲル係数」。2020年にはその割合は24%から26%へと上昇している。収入が大きく増える可能性は少ないのに、支出ばかりがかさむ一方。
「今後値上がりはあっても、値下がりはない。さらに苦しい時代となるのはまちがいない。家計のやりくりも、思いつく限りの工夫が必要でしょう。例えばしばらくはお米を積極的に食べるようにするとか。
新型コロナで外食が壊滅状態になったことでコメの在庫が積み上がり、今は値段も安い。お茶碗1杯分でも20円くらいですみます。原料の小麦が値上がりしているパンを食べるよりはずっと割安ですから」
デメリットが多く「悪い円安」と表現される現況。企業も家庭もコストカットの知恵が試される。
監修……荻原博子(おぎわら・ひろこ)●経済ジャーナリスト。経済事務所勤務後、1982年からフリーランスで新聞・経済誌などに連載。マネー分野の記事も多く手がけている。著書に『コロナに負けない!家計引きしめ術』(毎日新聞出版)、『一生お金に困らない お金ベスト100』(ダイヤモンド社)など。
(取材・文/オフィス三銃士)