“女らしさ”の枷を外す!
機能だけではなく物理的な意味で、スマホそのものがあなたを守る武器にもなりうる。子どもや女性などに護身術を指導する「大神拳」師範・生駒大貴さんが考案した「スマホ護身術」は、ここぞというときにスマホを使って不審者に反撃するための技術だ。
ナチュラルグリップ
普段ゲームやSNSをする際の自然な持ち方。握りが弱いのでのどか股間へのアタック向き。
フェンシンググリップ
スマホの左右をつかんだ持ち方。顔、のど、脇腹、股間へのアタック向き。
ミリタリーグリップ
スマホの上部を親指でおさえ、しっかりサイドを握った持ち方。相手の首や肋骨へのアタックなど、もっとも強力な攻撃ができる。
「以前は、みなさんが持っている鍵を用いた護身術を指導していたのですが、スマホが主流になってきた時期、『いつも手にしているものだし、護身にも使えるのではないか』と思って取り入れたんです。
鍵は相手を突き刺すことしかできないし、取り出すのに手間がかかりがち。スマホなら持ち方によっては鈍器のように使うことができます」(生駒さん)
ナイフやフェンシングの剣のような握り方でスマホを持ち、相手の鼻やのど、こめかみにヒットさせる。そうすれば、相手にダメージを与えることができるのだ。さらに、もし相手にスマホを奪われたとしてもロックがかかっているので、個人情報を見られる心配もない。位置情報機能を使えば、GPS機能で相手の居場所を特定できるという利点もある。
とはいえ、とっさに身体が動く女性はなかなかいないだろう。その問題を乗り越えるには、普段からの練習が必要。ミット代わりのクッションを用意し、手にしたスマホで突いたり叩いたりするのだ。
基本、スマホは男性の手の大きさに合わせて作られており、女性の場合はスマホグリップのアクセサリーを付けるとより握りやすくなるかもしれない。
こうした練習を重ねることで、技術の向上だけでなく意識面の改革を図る。つまり、「身を護るためにスマホでもなんでも使って相手に反撃をしていいんだ」と、自らに気づきを与えるのだ。“女らしさ”という名目で、女性たちはずっと「乱暴なことをしてはいけない」と教えられてきた。その枷を外し、「自分の身を護ることこそ第一なんだ」と、練習を通じて身体に覚えさせるのだ。
「まずは自分が助かることを優先しないと、手が出せなくなってしまいます。手を出さず、もし性犯罪に遭ってしまったら、その心の傷は一生続きます。いわば、魂の殺人です」(生駒さん)
護身術を使うシチュエーションはさまざま。特に女性が襲われた場合、強弱の“弱”が“強”に抗うという構図になる。多勢に無勢の場合もあるし、ヨーイドンの合図は街中にはない。とにかく、窮地に陥ったら自分の身と命を守ることのみ考えてほしい。襲われたらそこで打つ手なし……ではないことに気づくべきなのだ。