日本人のハネムーン史
『ホネームーン』から『フォトウエディング』まで、時代に合わせて変化を続ける新婚旅行。明治期から現在まで、その変遷をたどる。
明治期……関東では逗子、江ノ島が人気
近郊の海水浴場は一般の旅行先としても人気で、新婚旅行の目的地にもなっていた。そのほか、鎌倉や湯河原といった例もあるが、いずれも上流階級の一部の間でのみ行われる程度。
大正~昭和前期……熱海行きが新婚夫婦であふれる
新婚旅行が一般に浸透する過渡期は、熱海や箱根といった温泉地が定番。このころは酒色に富んだ娯楽地というよりは、閑静な保養地の風情を残しており、新婚夫婦にも好まれた。
昭和中期~後期……九州の温泉地が爆発的人気に
戦後の新観光地開発や、皇族の来訪といった影響もあり、空前の宮崎への新婚旅行ブームが到来。明るく伸びやかな雰囲気の「日本の南国」に憧れる新婚カップルが急増した。
平成前期~中期……国内外でのリゾート婚が定着する
海外旅行が一般化し、沖縄や周辺離島のほか、ハワイやグアムなど、時間や費用をかける新婚旅行の「リッチ化」が顕著に。新婚旅行と挙式を兼ねたリゾートウエディングも人気。
平成後期~現在……“挙式前”“映え”がキーワードに
結婚式の前撮りを兼ねた婚前旅行や、海外でウエディングドレスを着て記念撮影をするフォトウエディングが流行。一方、長引く不景気の影響で、新婚旅行をしない「ジミ婚」派も。
お話を伺ったのは……今井重男さん●千葉商科大学副学長、千葉商科大学サービス創造学部教授。経営学を主たる専攻として、日本のブライダル産業やブライダルサービス、ブライダルツーリズムなどを研究。
(取材・文/吉信 武)