最先端の事業を行うあいめこさんだが、5年前まではパソコンを持っていなかった。
SNSビジネスの世界に入ったきっかけは25歳のとき。大学を中退後、キャバクラのキャストや塾講師など職を転々としたのち、結婚。だが、幼いころから両親が不仲で、大人の顔色ばかり見ていたあいめこさんは、夫に対しても気持ちをうまく表現することができないまま過ごしていたという。
夫に生活費を増やしてほしいことも言えず、親に子育てを頼むこともできず、どんどん孤立していった。一念発起して塾の仕事を再開したものの、育児のストレスと過剰な仕事で体調を崩して入院。
母親としての葛藤
でも、そんなとき病室で思いついたのが、ネットでお金を稼ぐことだった。育児に興味を示さない夫とも離婚を決意。シングルマザーとなり、2人の子どもを1人で育てるために在宅でできる仕事を考え、まずはパソコンを購入。'18年、アフィリエイト(成果報酬型)ライターになり、一介の元主婦は『あいめこ』としての第一歩を踏み出した。
子どもを寝かしつけた後、ほぼ寝ずに原稿を書き続けるも最初のころは結果が出せず、1年で7000円しか稼げなかった。
「それでも頑張ってこられたのは、人とのご縁のおかげです。あのときは人生のどん底でした。でも、くじけかけると誰かが仕事やなんらかのヒントをくれるので、見てくれてる人がいると思って踏ん張ることができました。あとは、“自分は絶対に成功する、私は大丈夫!”という自信があったんです」
その後もつらい冬の時代は続いていた。
「まず、最後までやり切ることを徹底したんです。自分の実力を100%出しきれなかった仕事は“お金はいらないからもう一度やらせてください”と何度も頭を下げました。そういうことを続けていたら次第にすべてがうまくいくようになったんです」
徐々に仕事は増えていき、前述のオンラインキャバクラの成功もあり、起業へとつながった。アフィリエイターを始めて3年、今から2年前のことだった。とはいっても、すべてが順風満帆というわけではない。仕事がうまくいけばいくほど『母親』として向き合わなければいけない問題と直面する。
子どもたちの年齢は現在5歳と3歳。社長として仕事をバリバリとこなす自分と、母親として子どもたちを最優先してあげたい自分とがせめぎ合い、苦しんだ。
「私は一家の大黒柱として仕事をしており、100%子どもに目を向けられないのも事実でした……」
悩むあいめこさんの背中を押したのは母親のひと言だった。
「もともと私の母は人材派遣会社の社長をしていてバリバリのキャリアウーマンでした。私の小さいころも仕事人間だった母が、“子ども(孫)の面倒は私がしっかり見るから仕事を頑張って”と言ってくれたんです」