そして、ドラマ部門第2位は2018年放送の『今日から俺は!!』(日本テレビ系)。'90年代に人気を博した“ツッパリ漫画”を平成の終わりに実写ドラマ化するという、なかなかチャレンジングな作品だったが、まさかのリバイバルヒット。2020年には劇場版も公開されている。
「『今日俺』は幅広い層に受け入れられましたよね。時代設定も原作どおりに'80年代のままだったのでアラフィフ以上の人は自分の青春時代を思い出し、若い世代はツッパリや不良の文化を新鮮と受け取りました。
'82年リリースの『男の勲章』を主題歌に選んだのも大正解! 曲が流れた瞬間に当時の空気感を思い出しました。家族がリビングに集まりやすい日曜の夜に放送されていたので、親子2世代で楽しめたのもヒットの要因になっていますね」(沖さん)
アンケートでも「懐かしいあのころを思い出した」(48歳)というノスタルジーに浸る声のほか、「ヤンキーモノながら、ほかの作品に比べると暴力描写が控えめ。ギャグシーンもおもしろかった」(41歳)のように、比較的安心して子どもに見せられる内容だったのも奏功したようだ。
「『今日から俺は!!』の原作漫画は、僕が中学生のころでも古い作品でした。なので、4年前にドラマ化したときは驚きましたが、世代を超えてヒットしたのも衝撃。でも、コミカルさと男の友情のバランスが巧みで、僕も毎週楽しくドラマを見ていましたね」
そう話すのは、落語家の瀧川鯉斗さん(38)。元暴走族総長という経歴を持つバリバリの元ヤンキーとしても知られている。フィクションの設定は、現実とかけ離れてしまうのが常だが、鯉斗さんは「ヤンキー作品は実際の不良像と近い」という。
「『今日から俺は!!』は基本的にギャグ漫画なので、コミカルなシーンが多いですよね。僕がいた暴走族もしょっちゅうケンカをしているわけではなく、仲間と過ごす時間のほうが長いので良好な関係を保つためにも“ちゃめっ気”は必須。
『今日俺』の三橋よろしく、いつもはふざけていても“決めるときは決める”というヤツも実際にいました。ほかのヤンキー作品も僕の実体験に近い印象がありますね」
ヤンキードラマは、彼らの世界に触れられる作品でもあるようだ。
そして、鯉斗さんのコメントにも名前が挙がった三橋貴志(演・賀来賢人)は、登場人物ランキングでも2位をマーク。「普段はおちゃらけていて姑息な手段でケンカをするけど、本気を出すとかなり強い。そのギャップがいい」(48歳)など、彼のユニークなキャラクターに好感を持つ声が多かった。