《月命日でしたので パパには 大好きなカレーを作りました》
6月3日、渡辺裕之さんの霊前にカレーを供えた写真を、妻の原日出子がインスタグラムに投稿した。突然の訃報が舞い込んできた5月3日から1か月がたち、少しずつ日常生活に戻ろうとしているが、まだ夫の死を受け入れることはできない。渡辺さんと親交のあった映画監督の飯田譲治氏も、戸惑いを抱えたままだ。
「亡くなったことが今でも信じられません。誕生日や正月などにはメッセージのやりとりをしていましたし……」
知り合ったのは、7、8年ほど前のこと。
「渡辺さんは、'06年に今井雅之監督の『THE WINDS OF GOD―KAMIKAZE―』に出演されていて、私は今井監督と交流がありましたから、そのころからよく話をするようになりました。'15年には今井監督が亡くなり、追悼のために渡辺さんのお宅で関係者を集めて食事をしましたし、お子さんを紹介してもらったこともありましたよ」(飯田氏、以下同)
遺作『貞子DX』は10月に公開予定
渡辺さんは、役柄を問わず真摯に取り組む姿が印象的だったという。
「どんなジャンルの作品に出ても、役者としての格が落ちない方でした。マイナーな作品でもスケジュールが合えば出てくれて、作品の大きさにかかわらず、声をかけてくれた人を大切にする。制作サイドからすると、とてもありがたい役者さんでした」
人間関係を大事にする姿勢は、プライベートでも変わらなかった。気遣いのできる人だったことを知っているから、“なぜ?”という思いを今も持ち続けている。
「どんな気持ちを抱えていたのか想像することしかできませんが、いつかまた一緒に作品を撮りたいと思っていたので……言葉がありません。『THE WINDS OF GOD―KAMIKAZE―』の映画が公開された際、ポスターには渡辺裕之さん、今井雅之さん、千葉真一さんが並んでいたんです。でも、3人とももういないんですよね……」
渡辺さんの遺作は、ホラー映画『貞子DX』だと報じられている。
「作品のもととなっているのが、'98年に公開された映画『リング』。“呪いのビデオ”という都市伝説がテーマになっていたのですが、テレビ画面から這い出してくる貞子のビジュアルが強烈で、何度もリメイクされています。『貞子DX』はその最新版で、昨年10月に撮影を終えていて、今年の秋に公開される予定です」(映画ライター)