小説は人に見せるつもりはなかった
「私はクラウドに預けるバックアップのつもりで文章をコピーしたんですよ。だから誰かに見せようとか、全然考えてなかったんです! そうしたらあるときツイッターに『小説書いてますか?』と質問が来たので、正直にお答えしたら広まってしまって。
しかもそれがネットニュースになって、さらには『小説家になろう』の中でのランキングもすごい上がって、私のところにも通知がバンバン来て……自分で書いて、読んで、ひとりで楽しんでいたものにいきなり光が当たったもんだからもうビックリ、『えぇっ?』と恐ろしくなって、ケータイ投げましたもん!(笑) 『これは責任を感じる事態に陥った』と、それから10日くらいは怖くて書けませんでした」
ちなみにサイト上での「作者マイページ」の名前は、ペンネームの國生さゆりではなく“結城中佐”。これは柳広司のスパイ小説『ジョーカー・ゲーム』の登場人物で、国生がファンだからつけたものだそう。
「最初は自分のためだけだったからこの名前にしたんですが、変える方法がわからなくて、ずっと残っているんです(笑)」
また自衛官を描こうと思ったのは、海上自衛官だった父の影響があるという。
「小説を書いている間に、ロシアのウクライナ侵攻などもあったので……父もそうでしたが、タイトルを“国守”としたのは、国を思い、尊び、汗を流して守っている人がいるんだということを知ってもらうきっかけになったらいいな、という思いもあるんです」
実は小説の存在が話題になった前日、国生とお笑いコンビ『メッセンジャー』の黒田有はなぜ以前付き合っていたのか、というツイッター上での疑問に対して、国生本人が“気の迷い”と切り返したことがニュースとなり、小説の存在も広く知られることになったという流れがあった。
「今年の初めに、私のインスタグラムではファンの方へ小説を書いたことをお知らせしていたんです。それを見た方が、ありがたいことに私が小説を書いていることを拡散してくださったんですね。それがまさか、こんな取材を受けるようなことになるとは(笑)。『気の迷い』っていう切り返しは、よく質問されることだから答えないとなぁと思って。ちょうど俳句を考えるお仕事のために5文字と7文字の言葉を考えているときだったので、思いついた5文字をポーン、と書いただけで」