6月12日には、広島県で開かれた『第70回全国ろうあ者大会』におふたりでご臨席。秋篠宮さまは、手話を用いながらスピーチされた。
「手元の紙をご覧になりながら、一生懸命に手話を披露。大きな拍手が湧き起こると、安堵をにじませ、はにかまれるひとコマもありました」(皇室ジャーナリスト)
「佳子さまに代わって手話を披露する」という覚悟
手話といえば紀子さまというイメージを抱く人は多い。大学時代から手話に親しみ、長年かけて聴覚障害者の活動支援や手話の普及に取り組まれてきた。10年にわたり紀子さまに手話を教えた『日本ろう者劇団』の顧問・井崎哲也さん(69)は、秋篠宮さまが手話を披露されたことに驚きを隠せない様子。
「世界の王室や日本の皇室を振り返れば、手話を習得される女性は多いです。イギリスのダイアナ元妃の手話を直接拝見したことがありますが、ろう者並みにお上手でした。 一方、男性皇族が手話を披露されることは、これまでなかったと思います。秋篠宮さまが“第1号”なのでは」
英国王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんは、こう話す。
「ダイアナ元妃の長男であるウィリアム王子は『大英帝国勲章』の叙勲式で、手話通訳者として長年活躍された受賞者に“おめでとうございます”と手話で伝えたことがあります。ただ、ほかの方も含め、男性が数分間のスピーチをされたという話は聞いたことがありませんね」
ロイヤルファミリーが手話を習得することは、社会的に大きな意義を持つ。
「手話は、より多くの国民に気持ちを伝えることができるコミュニケーションです。国によって形は異なるものの、“だれも仲間はずれにしない”という前向きなメッセージに等しく、その考え方を国民に広く浸透させる効果が見込まれます」(多賀さん)
生まれつき聴覚障害のある井崎さんは、「独学で手話を習得するのは難しい」と説く。
「男性の場合、硬い動きになってしまうことが多いのですが、秋篠宮さまの手話は、とてもスムーズで上品でした。“けれども”や“理解”など、ほとんどの動きが紀子さまの手話とよく似ていて、一緒に練習されたお姿が想像できました」(井崎さん、以下同)
夫婦の絆を間接的に示されただけではない。
「秋篠宮さまは、“佳子さまに代わって手話を披露する”という覚悟を持って、手話に挑戦なさったのではないでしょうか。紀子さまの手話は見慣れた人もいるでしょうが、秋篠宮さまのインパクトは大きく、多くの人に勇気を与えたと思います」