part4. 下半身トラブルは恥ずかしいこと?

 3大悩みは尿もれ、骨盤臓器脱、性交痛。知らないうちに進行する骨盤臓器脱は要注意

フェムゾーンを保湿してGSMを予防

 中高年以降の女性の身体症状、GSM。50代女性の2人に1人に症状が出るといわれる、下半身のトラブルだ。GSMの予防には保湿が重要。

女性ホルモンが減少すると肌は乾燥しやすくなり、GSMを悪化させる原因に。入浴後にはフェムゾーンに保湿クリームを塗ってセルフケアを」(関口さん、以下同)

 また、GSMの特徴的な症状のひとつが尿トラブル。

「尿トラブルの原因のひとつは、骨盤底のゆるみ。出産を経験すると骨盤底は100%傷みますが、GSMが発症することでさらにゆるみ、尿もれなどが起きやすくなります」

 さらに70代を過ぎると「骨盤臓器脱」といって、子宮、膀胱、直腸といった骨盤内の臓器が腟口から飛び出る病気になることも。ただしこれらのトラブルは骨盤底筋トレーニングで改善が期待できる。

「腟口、尿道口、肛門をそれぞれ意識して締めるだけ。入浴中や座ったままでもできます。毎日継続して行えば確実に効果は現れるので、ぜひ習慣にしてみてください」

HRTで改善される更年期症状

腟炎・性交痛
 女性ホルモンの分泌が減ると、腟の粘膜が乾燥し薄くなり、性交時の刺激で痛みや出血が起こる

骨粗鬆症
 骨密度が低下し、骨の質が劣化して骨がもろくなる。進行すると骨折の原因にも

動脈硬化
 血液をうまく送り出せなくなり、やがて心筋梗塞や脳梗塞など深刻な病気を引き起こす

イライラ・気分の落ち込み
 閉経後は幸せホルモンといわれるセロトニンの分泌が減り、気分の落ち込み、抑鬱症状が出る

ホットフラッシュ
 上半身ののぼせ、発汗などが起こる。急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりする

 教えてくれたのは…関口由紀さん ●女性医療クリニックLUNAグループ 理事長。中高年女性の骨盤底・血管・骨・筋肉の総合的な維持管理を提唱。『セックスにさよならは言わないで :悩みをなくす腟ケアの手引』(径書房)ではGSMを徹底解説
https://www.luna-clinic.jp/

 高尾美穂さん ●女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長。医療・ヨガ・スポーツの3つを通じ、専門的な知識をわかりやすく伝える。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)
https://www.mihotakao.jp/

〈取材・文/中村未来〉