日本の女性の睡眠時間は世界の中でもっとも短いといわれている。さらに40代を過ぎたあたりから、更年期に起因する不眠が加わり、「睡眠負債」(寝不足や熟睡できない状態が続くこと)を抱えることになる。質の悪い睡眠を続けていると、肌が劣化し、白髪が増えて、体重も増加し、老化に向かってまっしぐら。
エイジングケアの専門医でもあり、理事長を務めるグランプロクリニック銀座などで睡眠美容外来を開始した岩本麻奈先生は「エイジングケアはどんな美容施術よりも眠りを味方につけることが王道です」と、睡眠こそが若さを保つ秘訣だと話してくれた。
「眠れない」ではなく、「眠るためにどうするか」……。その参考になるのが、いつでも若く美しい、女優たちの睡眠法。良い睡眠をとるために実践しているさまざまな工夫は必見だ。
夜の筋トレは×、ストレッチは◎
2歳の子どもの母親でありながら、圧倒的な美しさをキープし続けている北川景子。
すべすべの肌に、スタイルも完璧。どうやって、この美しさをキープしているのかについて「美容面で実践しているのは、小さなことの積み重ね」と雑誌の取材で答え、デビュー当時から守っていることのひとつとして「夜ストレッチ」をあげている。
その日の疲れをほぐし、次の日に持ち越さずに快眠へつなげるべく、結婚してからは夫のDAIGOとともにストレッチをしているとか。
同じく完璧なスタイルと美を誇る松嶋菜々子(48)も、ぐっすりと眠るために工夫していることとして「寝る前に適度なストレッチをするようにしている」と語る。
眠る前に身体を動かすことは、睡眠の質を上げるのだろうか。睡眠改善インストラクターの小林麻利子さんによると「スクワットや腹筋運動などの筋トレはNGですが、ストレッチはとてもいいと思います」。
頑張って筋トレを行ってしまうと、体温が上がり心拍数も上昇。すると、眠気を導く体内時計がずれてしまい、寝つきが悪くなる。結果、遅寝遅起きの睡眠サイクルになってしまうのだ。では、ストレッチだと、なぜよい眠りに入れるのか。
「身体の筋を伸ばして柔軟性を高める動きを10分ほど行うと、平滑筋という筋肉から、少量のカルノシンというホルモンが分泌されます。すると交感神経の働きが抑えられ、さらに血流が良くなります。ストレッチであれば深部体温が上昇しないので、深い眠りに入っていけるのです」(小林さん)
短時間のストレッチをするとリラックスモードになり、眠くなってくるのだという。
さらに、身体のこわばりをしっかりとることで疲労回復効果もある。
スクワットや腹筋を頑張るなら、寝る2時間くらい前までに終わらせるようにして、寝る前は身体をほぐすことに軸をおくのがおすすめだ。
【解説をしてくださったのは…】
岩本麻奈先生
東京女子医科大学卒業、パリで抗老化医学、予防医学などを学ぶ。現在は最先端再生医療や美容医療に携わり、2021年より睡眠美容外来を開設。健康や美容のためにいかに睡眠が重要か啓発。主な著書は『睡眠美容のすすめ』など多数。
小林麻利子さん
睡眠改善インストラクター、SleepLIVE(株)代表。「美は自律神経を整えることから」を掲げ、睡眠に課題を抱える3000名以上の悩みを解決。監修した、眠りをサポートする天然製油100%のアロマアイテム『SLEEP STEP』発売中。