前例のなかった舞台観劇サブスク

 これまで比較的自由に活動してきた海老蔵からは考えられない動きだが、松竹はこのほかにも目新しい試みを行おうとしている。

「松竹歌舞伎会の会報誌で、今年の9月と10月限定で“定額観劇サービス”を開始したんです。月に2万4000円を払えば歌舞伎座で舞台を見放題というプラン。最近よく耳にする“サブスクリプション”ですね」(梨園関係者)

6月末に配布された会報誌にサブスクの詳細が。2回鑑賞すれば元が取れてしまう価格設定だ
6月末に配布された会報誌にサブスクの詳細が。2回鑑賞すれば元が取れてしまう価格設定だ
【写真】自身と麗禾ちゃんのの“断食”の様子を綴る市川海老蔵

 これまで前例のなかった舞台観劇のサブスク。140年近い歴史を持つ歌舞伎座が先陣を切るのは意外かもしれないが、やむにやまれぬ事情もある。

「近年はライトな歌舞伎ファンも増えてきてはいたのですが、昨今のコロナ禍で高齢の贔屓筋といった客層の足が遠のいてしまいましたからね。このような状況で襲名披露公演を行っても期待しているような収益が見込めない可能性もあります。松竹として、門戸を広げてより多くの人に歌舞伎を観てもらいたいという意図があるのでしょう」(中村さん)

 歌舞伎界を盛り上げるため、松竹はさらなるサプライズを画策しているようだ。

「水面下で10月の歌舞伎座にも海老蔵さんに出演してもらおうと交渉しているそうなんです。もし実現したら、襲名披露公演と合わせて計4か月、つまり約120日連続で海老蔵さんは歌舞伎座に出演することになりますね。先代、先々代の團十郎襲名披露公演は3か月連続で話題を集めましたが、それ以上の大型興行になるでしょう」(前出・梨園関係者)

 海老蔵といえば、'21年は7月しか歌舞伎座に立たず、周囲からは“歌舞伎座が嫌いなのでは”と噂されたほど。

「本来、歌舞伎の興行は年間を通して松竹が先々までの演目を決めていました。しかしコロナ禍で見通しが立たなくなったため、海老蔵さんは自主公演を優先的に入れてしまっていたんです。結果として最近までほとんど歌舞伎座の舞台に立たなかったんですよ」(同・梨園関係者)