看板で顔を出した理由
兄「もうすごく前に建てたものですね。15年くらい前ですかね」
弟「でもね、顔じゃなかった! 後からその看板を顔の看板にしているんですよ。顔をやりだしたのは俺なんだよね」
兄「いや、違うから。思い出した。社員旅行でタイに行ったら、“変なオヤジ”の顔が出ている看板がいっぱいあったんですよ。それで“面白いな”って思って、弟に“顔出しやってみろよ”って言ったんですよ
弟「違う! それ後付けだよ! 俺が先に顔出しやって、その後タイに行ったんだって」
弟は顔出しした理由について以下のように話す。
弟「やっぱり患者目線で、“誰が責任者か”、“誰が診るのか”ということがわかるように。あとはやっぱり『ロバート・ザイアンス』の“単純接触効果”ってやつですよ」
『単純接触効果(ザイアンス効果)』……くり返し接すると好意度や印象が高まるという効果のこと。アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱。
兄「なに言ってんだよ! それこそ後付けじゃねーか! バカ言ってんじゃねーよ。ロバートなんとかって誰だよ。最近知ったんだろ?」
(以下、顔出しについて “どちらが先か”でケンカが始まったが、同じ話のくり返しなので割愛)
最初の看板は、その大きさに同業者の度肝を抜いたという。
兄「脚光を浴びたと同時に、行政にものすごくツッコまれたんですよ。同業他社がクレームを行政に言うわけですよ。それでもなぜ続けたか。反響があったからです。彼はそのとき看板を出していなかったんです」
弟「はぁ!?」
兄「看板の影響が弟の耳にも入ってきたわけですよ。横浜にきぬた歯科の看板があると。そしたら弟は“マネしよう”ってなったんですよ」
弟「前の取材でいろいろ広告を試して、看板の効果があったって話しましたよね? それで看板に力を入れようってなって、そのときに“そういえば横浜もたくさん看板置いてるな”って。そのとき俺は2つしかやってなかった。その時点では看板は少なかったから、たくさん建てる後押しになったよね。作り話するなって」
(以下、看板について “どちらが先か”でケンカが始まったが、同じ話のくり返しなので割愛)
“どちらが先か”はさておき、横浜はなぜ看板を出すことにしたのか。
弟「答え出ないでしょ?『ザイアンス効果』とか言うなよ(笑)?」
兄「30年前、開業当初からすごく患者さんが来てくれたんですが、薄利多売だった。でも来てくれる患者さんをもっとおもてなしたいと思いました。器具・機材をもっと新しくしたい。もっときれいにしたい。そうなってくるともっと利益を上げなければならない。それで看板に至ったんです」