大事なのは地元の人、お金はあとでついてくる
弟の八王子きぬたは地元から遠く離れた土地にも看板を建てているが、横浜きぬたの看板は基本的には地元・横浜での掲出が多い。
兄「やっぱり大事なのは地元の人ってことなんですよ。基本を忘れちゃいけない。看板出して面白い、騒ぐってことじゃない。世のため人のためってことです。たぶんそれは弟も一緒だと思う。『高須クリニック』の高須先生も言っていたけど、“金持ちになりたい”と思って医者になった人で、金持ちになった人は1人もいない。大事なのは患者さんに寄り添うとか、人のためってことを考えると、必ずお金って後からついてくるんですよ。弟のようにあちこちに出して有名になるという路線で患者さんを集めるのも1つの方法だと思うんですけど、僕は地元でやっていきたいですね」
兄弟ケンカから一転、真面目で“良い話”になった。
兄「やっぱり聞ける話のケタが違うでしょ(笑)? レベルが違うでしょ?」
弟「あのね、兄の問題は、話が“記事として”面白くないんですよ。わかるでしょ? 世のため人のためとか社会貢献とかは“あぁそうですか”で終わっちゃう。そこで人を惹きつけるために空気を読まなきゃダメなの」
兄「このあいだ弟の取材したんですよね? もうどんな話をしたか想像つくわけですよ。どうせおちゃらけた話で終わっているわけですよ。もしくはカッコつけた話ですよ。あの足組んで気取った看板なんだよ。勘違いしてんじゃないよって思いません?」
兄の横浜きぬたは横浜各地に建てられた看板の写真を使ったトランプを作成した。弟は前出のようにファンが神経衰弱やTシャツなどのグッズを作っている。
弟「横浜は自分で作っていますからね。俺は俺のファンの人が勝手に作ってくれている。その違い! つまり俺のほうが一般の人にインパクトを与えているってこと、人の心を動かしているってこと。自分で作るって……(笑)。この取材だって、最初に俺のところに連絡があって先に取材受けて、あなたを誘ってあげたんですよ」
兄「うちにもメールくれていたんですよね? 俺がきっかけだよ」
弟「俺だって」
数字自体は控えるが、両院の宣伝広告費を比べると八王子のほうがやや多い。
兄「(売り上げのうちの)何%にするって基準を決めないと、気がつくと下がっていっちゃうんですよ」
弟「それはなぜかというと“セコい”から。セコいとそうなっちゃうの。金がもったいない、もったいないってなってるの」
兄「こいつ、靴下ですらエルメスなんですよ。お前、靴いくらだよ?」
弟「『ジョン・ロブ』って言って、○万円くらい」
兄「僕の靴なんてAmazonで買った安いのですよ?」
(以下、お互いが身につける衣服や時計、車などについてケンカが始まったので割愛
兄「何が言いたいかっていうと、僕は残ったお金は病院に投資するんですよ。それが患者さんに還元することになる。生きるスタンス自体が違うんですよね。病院には湯水のように使うんですよ」
弟「そうじゃない。それは跡継ぎがいて残したいからでしょ?俺はいないから」
すべての事柄でケンカが始まるような兄弟だが、なぜ今回初めてとなる“兄弟コラボ看板”を出すことになったのか。
兄「人生も終盤になっちゃっているんですよね。こないだ30周年だったんですけど、親がすごく嬉しそうだったんですよね。親が健在なんで、兄弟で一緒にやることが親孝行になるんじゃないかって思ったんですよね」