「オミクロンに対応したワクチンを開発中だったのでは? それを待ちたい」という声もあるだろう。
オミクロン株は、出現当初(BA.1)から、免疫逃避を促す変異が指摘されていた。そこで免疫の“顔認証データべース”にオミクロン株の情報を追加した「オミクロン・ワクチン」の開発が急がれた。
昨年12月の時点でファイザー社は、オミクロン・ワクチンを今年3月には供給できるとしていた(ウォールストリート・ジャーナル)。モデルナ社も、数カ月のうちに大規模製造が可能との見解だった(フィナンシャル・タイムズ)。
この見立て通りにはいかなかったようだが、現在、両社ともほぼ完成にこぎつけている。
「オミクロン・ワクチン」はBA.5に効くのか?
モデルナ社は6月8日に、治験中のオミクロン・ワクチンを参加者800人以上に追加接種(4回目)として50マイクログラム投与したところ、オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体が8倍に増えたことを発表した。
ファイザー社も6月25日、治験対象者1234人にオミクロン・ワクチンを30マイクログラムもしくは60マイクログラム接種したところ、BA.1に対する中和抗体がそれぞれ13.5倍と19.6倍に増加したと発表した。
また、同社は従来ワクチンとオミクロン対応ワクチンを混合した2価ワクチンの開発も進めており、BA.1に対する中和抗体はそれぞれ9.1倍と10.9倍の増加となったという。
ただ、この数カ月間にもウイルスは変異を続け、主流はBA.1からBA.2へ、そしてさらに強力な免疫逃避を示すBA.5へと置き換わった。
6月30日、アメリカFDA(食品医薬品局)はワクチンメーカーに対し、BA.4・BA.5に対応する新たな追加接種用ワクチンの製造を求める声明を発表した。
ファイザー社は6月の段階で、完成間近のオミクロン・ワクチンでもBA.4・BA.5に対する中和効果は確認されたものの、BA.1より効果は低かったと認めている。