“新世代YouTuber”の動向もチェック、テレビ進出は捨てる?
そんなヒカルの動画はどのような過程で作られていくのだろうか? 月に1度行われるという企画会議の模様はというと、
「僕たちが用意した30個ほどの企画を持って、ヒカルさんのご自宅で会議をするっていうのが主流です。日によっては企画を見ずに、ヒカルさんの今後の戦略を聞いてブレストをする時もあります。企画や戦略は僕たちも提案しますが、彼も常に考えています。ストイックに数字を追いかけて本当に日々、チャンネルを伸ばすためにはどうしたらいいかを毎分毎秒考えている一面ももちろんありますが、会議を共にするようになってイメージが変わったのは、“自分が楽しむことを一番大事”にしているところでした」(すのはら氏)
たけち氏も続ける。
「“面白い”に対してストイックなんだと思いますね。今、好調の“新世代YouTuber”のことも知っていて、年齢でいえば7~8歳ほど違う彼らの動向もチェック、『最近のYouTubeの流れはこうだから、こうしたほうがいいと思っていて……』といった意見はとても参考になります。僕たちの企画も『こうアレンジして出します』とか、『こういう風にします』と自身のエッセンスも加える。常に動いているので一体いつ寝てるの? と思うときもありますね」
また、ヒカルはグループYouTube 『NextStage』のリーダーとしての顔も持つ。『みきおだ』のみっき〜とおだけい、元『へきトラ劇場』の相馬トランジスタ、ラファエルといった人気YouTuberに加え、ヒカルの会社の従業員で編集を担当していた名人、ロケマサや、ヘアメイク担当の捧(ささげ)さん、ヒカルの実兄のまえっさんと元々裏方だったメンバーも加えグループとして活躍している。日本の上位YouTuberはグループが多く、月間の再生回数・時間もグループのほうが高いというデータが出ているのだという。
「グループ作るときもそうでしたが、ヒカルさんのチームは彼の意思決定に絶対従うというのが強み。そして、行動に移すまでがとにかく早い。これは個人活動のときもそうですが、集まって打ち合わせをしているときに何か新しいことを起こそうと決まったとき、その30分後には動画で“宣言”する。これは他のYouTuberさんとの大きな違いですね」(すのはら氏)
たけち氏は『NextStage』の旅行企画『泥酔したら即帰宅の旅』(2021年)という企画にスタッフ・司会進行として参加した。一定時間ごとに用意されたミニゲームの敗者が酒を飲み、メンバーが酔っていく姿を収めた動画だ。そのなかでみたヒカルとは──。
「48時間耐久というルールだったのですが、ストイックに寝ないですし、この場を楽しんで面白い撮れ高を作ることを徹底されていました。カメラのオン・オフでも変わらない人だなと。疲れた姿をみせない。それこそ、この『泥酔旅』もYouTuberの流行りのスタンスの動画ではなく、“みんなと楽しみたい!”というヒカルさんの希望だったりします」(たけち氏)
トップYouTuberとしての地位を確固たるものにして久しいヒカル。そんな彼の今後の活動はどうなっていくのか。2022年に入ってからはテレビ進出も口にしていたが、
「う〜ん、わからないですね(笑)ヒカルさんって変わるんですよ。その変われるところがすごいなと思っていて。“今までの自分は間違っていた”って明言して、全然違う方向へとドンと舵を切れる。今年の3月の時点と今の時点で全然目標が違いますから。それが彼の凄さですね。
テレビに関しても別軸で動いてはいるようで、レギュラーの枠を作ろうとしていたりとか、そういのは今後あるだろうなとは思います。ただヒカルさんはYouTubeが第一優先。なので、YouTube界をもっと盛り上げなきゃいけない、そこに時間使わなければならないとなればテレビ進出はすぐに捨てるのでは」(すのはら氏)
ただ、唯一変わらないものがある。
「ヒカルさんのファンを大切にする姿はYouTuberのなかでもかなり上位のほうだと思います。というのも、握手会とかイベントにいったときにファンの顔とか名前を憶えているんですよ。相手が名乗らなくても『〇〇って名前でしょ?』『(SNSの)アイコンこんな感じだよね!』とか、とか。それは本当にすごいなと。自分についてきてくれるファンを大事にする気持ちがあるからこそ、トップランナーでいられるのでしょうね」(たけち氏)
世間が知らないカリスマの知られざる素顔がここにある──。