目次
Page 1
ー コミケにやってくるカメラマンたちの“心理”
Page 2
ー 人が否定する“あざとい”ジャンルはブルーオーシャンだった
Page 3
ー 大手を辞めたら芸能活動できない「それ、誰が決めたん?」
Page 4
ー フォロワーは興味を持ってもらうための“名刺”にすぎない

 

事務所を辞めたらもう芸能活動できないよ、成功できないよ、とかよく言われたんですよ。でも私それ誰が決めたん? そう思うんですよね

 かつて大手芸能事務所に所属しアイドル活動や女優としても活躍した「SNSのフェチ天使」こと、くりえみ。Instagramフォロワー数109万人、Twitter52万人、YouTube33万人(8月現在)。数多くのコミック雑誌の表紙を飾るなどグラビアを中心に活躍、SNSでの動向がネットニュースで多く取り上げられるほか、『ABEMA PRIME』などの討論番組にも出演。また、タレントのみならず起業家としての一面も持つ。

 いかにして彼女は事務所の看板なしでのし上がってきたのか。何者でもなかった人が、ある日突然有名に。そんな無限の可能性を秘めたSNS時代の最前線が見えてくる──。くりえみに“人生を180度変える方法”を聞いた。

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 高校1年生のときに渋谷でスカウトされて芸能界デビュー。アイドルグループの初期メンバーとしても活動していたが2018年に卒業。大手芸能事務所を辞めてフリーに。今まで全く運用してこなかったSNSをその前後から始めた。

「(事務所を)辞める前から自分の気持ちを発信したい気持ちが高まり、ネガティブな感情も含め、SNSで好き放題、自分が思うことを投稿していたんです。当時の事務所からは怒られましたね(笑)。『タレントが内面を赤裸々にし過ぎるのは良くない』と。でも私は長い目で見た時に、最も必要なのは“人間力”だと思ったんです。今となっては、あまり“自分は幸せじゃない”みたいな発言をしてもファンも幸せにならないなと気づきましたけど……とにかく、SNSを“ガチり始めた”のはその頃からでした」

 

コミケにやってくるカメラマンたちの“心理”

 彼女が人気を得たのはコスプレイヤーとしてだ。コミケで撮影された画像がSNSでバズり、たちまち認知されるように。しかし、昨今はコスプレイヤー人気が凄まじく、激戦区でもあるため普通にしていたのでは埋もれてしまう。そこで取った手法は、その場に集まったカメラマンがツイッターに投稿した写真全てを“リツイート”することだった。

「コスプレイヤーさんってこだわりが強い方が多いんです。顔はこの角度じゃないと嫌だとか、この表情じゃないと好きじゃないですとか。だから彼女たちは自分が本当に写りがいいものしかリツイートしてないし、それ以外は拡散されたくないと思っている。そこで、私はすべての投稿に反応するようにしたんです。わざわざ来てくれたカメラマンさんの心理を考えると、被写体本人に認知されて喜びを得る方も多いのかなって

 

 その効果は凄まじかった。ある夏の炎天下に行なわれたたった数10分程度の撮影会で1000人以上が彼女の写真をSNSに投稿。フォロワーが1日に3000人増えることもあった。そんな彼女だけに、自らツイートをする際にも独自の戦略を持っていたという。

「2019年ごろのTwitterは長めの文章を書くのが主流でした。ですが、アイドルをしていた経験から感じていたのは、ライブの感想を発信しても、そこに来てくれた人しか分からない情報だとファン以外のユーザーに拡散されないということ。だから私は内輪の投稿にならないよう、具体的な情報を入れずにツイートしていました。 グラビア画像をアップして、写真にマッチしたひとことだけ、といったように。今ではすっかり普通のことになりましたが、当時、実践している人は少なかったですね」